村川和重, 森山萬秀, 柳本富士雄, 中野範, 福永智栄, 森田美由紀,池田和世,神原政仁 慢性疼痛の概念 治療2008;90(7):2046-2051
- 痛みの定義 IASP international association for the study on pain
- 組織の損傷を引き起こす、あるいは損傷を引きおこす可能性があるときに生じる不快な感覚や不快な情動を伴う体験。あるいはそのような損傷を表現する用語で表される不快な感覚や不快な情動を伴う体験
- 急性痛 生体の警告系として重要な生理学的役割を果たしている 侵害受容性疼痛(生理的な痛みと炎症性疼痛から主に校正される)
- 慢性痛 組織損傷を避けるのに役立つ生理学的意義を全く果たしておらず、単に患者のQOLを損なうだけで、生体警告系の役割をもっていない。病態生理学的な痛み。生理学的および解剖学的変化と行動変容の結果として引き起こされたもの。不適切な適合で、機能障害的な反応。その反応の大部分は主観的であり、身体的および心理学的、社会的、情動的領域を含んでいる。
- 慢性疼痛の分類
- 長期間にわたり侵害刺激が加わり続ける侵害受容性疼痛
- 疾患が治癒した後も持続している痛み
- 組織損傷の徴候がない自発的慢性痛
- 慢性疼痛の分類 機序による
- 侵害受容性
- 神経障害性 末梢性
- 神経障害性 中枢性
- 混合性
- 慢性疼痛へのアプローチ
- 慢性疼痛の診療においては、痛みの原因や源をあきらかにするのは容易でなく、そうした場合には痛みの機序を明らかにし、それに対応した処置を行うことが最も重要になる
- 痛みの病因の病理に根ざすものでなく、痛みが生じている病態を的確に判断することから始まり、広い範囲の病態を含む慢性疼痛との表現になることもある
- 慢性疼痛のアセスメント
- 慢性疼痛の特徴は、極めて主観的な経験であることから、有効な対応の実践を可能にするには、強度、持続期間、影響(活動障害、病的行動障害など)の三つの要素を組み合わせて評価することが必要である
- 治療対象についても、急性疼痛には原因や損傷の治癒に焦点をあわせたものであるが、慢性疼痛では昨日の最大化を含む効果および活動障害や心理社会的問題の管理が中心となる。