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慢性疼痛難治例に対する入院マネジメント

川久保宏美、井上豊子、山下敬子、河田浩、安野広三、貴船美保、細井昌子 慢性疼痛難治例に対する入院マネジメント 心身医学的観点からの工夫 慢性疼痛 2014;33(1):187-194

  • なぜそのような言動を起こすのか患者独特の認知行動パターンや失感情的な過活動に注目し、過去のトラウマや厳しい心理社会的背景を理解することが重要となる
  • 信頼関係形成のための工夫
    • 信頼関係を形成するためにはまず、患者の「痛み」のあるがままを受け入れる姿勢を示すことである
    • 慢性疼痛患者は医療不信を抱えていることが多く、重症例での初回入院は病態把握、信頼関係の形成目的だけで終えることもある
    • アナムネーゼ聴取時は、形式にそって聞いていくのではなく、患者が話したいことから聴取する。患者の話を聞く準備がこちら側にあるということを伝えるためである
    • 患者の言葉を否定しない表現で患者が攻撃的になりにくくなるような対応を心がける。たとえば、患者が語る話の流れが不思議な経緯であると看護師が感じても、「なぜそうしたんですか?」という質問形式で問うと、自己肯定感が低い症例では責められているように感じる場合があるため、「どのような流れでそのような経過になったのでしょうか?」と正当化させないでも自然に思考・感情や事情の流れを説明できるような日常会話を行っていくことを心がける
  • 疼痛行動の分析と対処
    • 痛みを訴えるときには擁護的に関わらないようにする一方、痛みを訴えない時に本人の全人的苦悩に対して十分に情緒的に対応する。
    • 患部をやさしくタッチングしたり、歩行するのを支えて介助したりするような積極的な疼痛緩和のためのケアは原則として行わない
    • 疼痛時以外に受容的な対応を心がけて、痛み症状の訴えを介しない支持的なコミュニケーションを図り、患者自身の全人的な苦悩に関心をむけて、思っていること、感じていることを共有しようと取り組んでいる。痛みを訴えなくても、話を聴いてもらえる、あるいは自分の苦悩に関心が向いていると患者が実感してくると、患者の疼痛行動は減少しいくことが九州大学病院心療内科では日常的に観察されている
  • 適応行動の強化
    • 身体的な痛みの訴えを通して周囲との対人交流が行われている環境から、心理面での苦悩を直接語っていただけるように患者それぞれに個別的な課題を課している
    • そのありのままの感情に「患者自身が気づいたこと」を支持する
  • 過活動の症例に対する工夫
    • 患者がその方法で努力してきたことを受け止め、焦燥感や罪に意識を感じる患者の苦悩を理解する必要がある
    • 失感情症傾向の強い症例に対する工夫
    • 「難しいと思ったのですね」「わかりにくかったのですね」と、患者が感じたものを拾い上げてフィードバックする。わからなかったことで自分を責める患者には、「責める気持ちになるのですね」と、肯定も否定もせずに患者音kと場に耳を傾ける
    • 段階的心身医学的治療が進むと、患者にとって問題の核心、困難な課題など治療の本質的な部分に直面する時がある。この時点では、治療を受け入れることができないような不安定な状態にあることもあるが、治療意欲が維持できるよう患者が直面しているストレッサーとの間の緩衝的役割を看護婦が担うことで、治療が展開することがある
  • 病棟の他患との交流不全に対する工夫
  • 看護師に攻撃的な患者への工夫
    • 強い言動、迫力に看護師は動揺するが、表情に出さず、患者のネガティブが交流パターンに積極的に対応しない
    • 看護師が慢性疼痛難治例の患者対応に自信がなく、患者の攻撃的言動に強いストレスを感じているときは、無理をせず、自身の力量に応じて他のスタッフと連携を図り、心理的にも助けをもとめることも長期的には重要である
  • 依存欲求の抑圧がみられる患者への工夫