• 中井久夫精神科医は何よりもまず患者との相互作用によってつくられる」
  • 精神科臨床のスキルは、宣言的記憶よりも、手続き記憶の面が強い。したがって、数学、語学、楽器の演奏などと同様、ある程度量をこなさないとうまくならない。
  • すぐれた治療者は、容量がいい。重要なことと無視して構わないこととを瞬時に区別している。その結果、優れた治療者ほど面接は簡単に終わる
  • 精神療法においては、単なる診断決定、鑑別診断を超えた、講義の「診立て」が必要となる。すなわち、「症状よりも生活を診る」「診断よりも人間を診る」ということである
  • 若者にとっては未来を、お年寄りにとっては未来を語ることが精神療法になる
  • イチロー 小さいことを積み重ねることが、とんでもないところへいくだた一つの道
  • 戦略のない傾聴、漫然とした相槌、紋切り型の慰め、これらはすべて「慢性精神科医」にみられる典型的な症状である
  • なんの分野であれ、実務作業のコツを文章で拾い上げることは難しい
  • 優れた精神科医の診察は、冗漫とは縁遠い。コツを覚えるとは、面接をシンプルにまとめることであり、大事なことを集中的に話し合って、瑣事については截然と切り捨てる
  • 患者のこれまでの経緯の中で、この話題は傾聴に値するか。しないと思えば、瞬時に話題を切り替える。ムダな話で時間を浪費することはない
  • 病気よりも人間を、診断よりも治療を、症状よりも生活を
  • うつ 甲状腺機能低下の潜伏は常に念頭におく
  • 抗うつ薬は、眠らない人には効かない
  • 簡単に解決できないことばかりを、最悪の時に持ち出してくる
  • 病理には手を触れるな。健康な部分にのみ働きかけよ
  • プロの治療家としては、「先生のおかげです」といわれて喜んでいるようなナイーブなレベルでは、できるだけ早く卒業することとしよう
  • 「結局は、頼りになるのは自分だけ」という思いを抱かせることができれば、これほど治療的なことはない
  • 若者に未来を語らせること、お年寄りには過去を語らせることが、そのまま精神療法になる
  • 際限ない心気的愁訴は、話題を思い出に向けさえすれば一瞬にして静まる
  • 焦点の定まらないオープンクエスチョンと目的のない傾聴は、プロの精神療法と言えない
  • 精神療法において、最大の師は、患者である
  • 傾聴よりも良い質問を
  • 傾聴にも戦略がいる
  • 戦略のない傾聴は有害ですらある
  • 私の側から、「もうこなくていい」という言い方はしない。「もうすっかりお元気になられましたね。これからそんなに短い間隔で通っていただくには及ばないでしょう。次回の予約票は、「日付未定」としておきます。次回お越しになるときは、電話で予約を入れて下さい」そういって日付を空欄にした予約票をお渡しする