痛みに対する心理療法 ナラティヴ・セラピー

町田英世、吉川悟、中井吉英 痛みに対する心理療法 ナラティヴ・セラピー 痛みと臨床 2005:;5:312-317

  • 抽象的な「痛み」といった訴えで成り立つ疼痛疾患は多面的・総合的にとらえる必要性が高く、ナラティヴ・セラピーの立場に学ぶべきところは大きいと思われる
  • 慢性疼痛では、診断が解決に導かれることもあるが、不治を告げられるつらい宣告になることもある
  • 「問題の解決」「問題の解消」
  • ナラティヴ・セラピーにおける「問題の解消」とは、対話を通して「痛み」の意味合いは変化し続け、患者と治療者が共同して「問題の解消」が目指される方向性を表現している。
  • 一般的な慢性疼痛治療にしばしば登場する「痛みをとる(解決)というより、痛みがありながらも暮らしていく(解消)」と類似している
  • 生物学的立場に立つ医療者は、「痛み」が問題であって、「痛み」を起こす心因や人間関係に病因(問題)を求める状態になっていないか推敲をしつづける責任性があり、問題の「痛み」をコントロールできるよう更なる治療法を見つけていく姿勢が求められていくのではないか
  • 人類は言葉というコミュニケーション手段を得てから、「痛みをどう感じるか」ということよりも「痛みをどう伝えるか」「どう語り合うか」という重要性が増してきた。