家族療法―システムズアプローチ

町田英世、所明宏、中井吉英 家族療法―システムズアプローチ 痛みと臨床 2001;1:311-316

  • 慢性疼痛はミクロからマクロ単位のさまざまな因子による相互作用を受ける病態だが、とくに普段から属する家族内の交流によって、疼痛行動が影響されやすいといえる
  • システムズ・アプローチとは、問題とされている行動をある種のコミュニケーションと考える視点であり、“問題として語られている状況”に変化を起こすことを目標としている治療法といえる
  • システム論的家族療法による慢性疼痛の治療では、疼痛が問題として語られている家族内のコミュニケーションを重視し、変化を起こしていくことを目標とする
  • 人も主として人間同士の相互関係によって、個人の感情、ひいては身体的疾患も変化しうる。たとえば、疼痛をとってみても、対人関係によって訴え方が変わりうる。
  • 関係性を考慮することは、原因探しをすることではなく、問題を悪循環させている状態把握にある
  • システムズ・アプローチとは、問題とされている行動や状況をある種のコミュニケーションと考える視点であり、“問題として語られている状況”に変化を起こすことを目標とする治療法といえる。
  • “医者も家族もわかってくれない”という言葉は、慢性疼痛の患者さんからしばしば聞かれる。医師の立場では、痛みの生理学的理論(gate control theoryなど)を家族に心理教育し、たとえば、“痛みに敏感になっている状態”といった病態説明をしていくことがしばしば有用である
  • 本例では、“痛みは除くべきもの”としたコミュニケーションから、“痛みは休養のために必要なもの”へと変化していく過程を読んでいただきたいと思う。