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  • 痛みの診療には、その人の人生、生きざまが滲んでいます。多くの患者さんが痛みのために絶望に追いやられています。そのあまりの苦悩の深さに、私は自分の診療の場を「絶望クリニック」と呼ぼうかと思ったこともありました。
  • 人間理解の究極の核は人間の実存性(生きる意味)です。
  • あなたを待っている誰かや何かがある限り、あなたは生き延びることができるし、自己実現できる
  • これからの医療の中に、普遍性の上に個別性をどう成立させるかの方策として、武見太郎先生は、東洋医学を導入するの一番いい方法だと考え、漢方方剤百数十種類を、一気に保険収載 (1976)させました。
  • 東洋医学導入が同年9月、さらに2004年に、医学部の教育カリキュラムである文科省のコアカリキュラムの中に和漢薬が概説できるという項目が入りました。
  • ストレスに対抗するための対処方法(ストレスコーピング)には四通りあり、「戦う、逃げる、過剰適応、従病」です。
  • 従病というのは病気の原因(ストレッサー)に従った振りをして、逆に病気を従えてしまうようなしたたかさ。
  • 従病に至ると患者さんは、行動が変わります。
  • 生きざまの転換を実存的転換と言います。
  • 人は自分の感情に気付き、感情と深く結ばれている身体への気付きを深めなければなりません。自らの感情や体感、生きる意味を過剰適応のなかで失っている失感情症や失体感症、失意味症といった現代人の病態は、これに反するものであり、人間性を失いかけた人間の姿であると言えましょう
  • 痛みとは、その人の毎日の生活、すなわち生活習慣(ライフスタイイル)の歪みから生まれます。
  • 今まで、多くの痛みの患者さんに接してきました。そこからうかがえることは、「人は生きてきたように痛む」ということです。
  • 生きる意味をみつけると生活習慣は変わる
  • 医療の一番の基本は「doingよりもbeing」(何かするよりも絶えず傍らにいること)です。
  • がんの痛みはトータルペイン(身体、心理、社会、実存的な全人的な痛み)です。ですからモルヒネだけでは問題は解決しません。
  • 補法の実践のために用いる薬剤を補剤といいます。補剤とは、低下した生命エネルギー(気)を補うような薬事です。漢方方剤(漢方薬)には、十全大補湯補中益気湯、人参栄養湯、牛車腎気丸など多くの補剤があります。
  • 16世紀の外科医アンブロワーズパレ 医療の目的 ときに癒し、しばしば和らげ、そして常に慰める

  • 実証 ありあまるほど体力がある状態
  • 中間証 中程度の体力を持つ虚実間証
  • 虚証 体力が低下している状態
  • 私の理想は「笑う絶望クリニック」です。