p67 阿部哲也、福永幹彦、中井吉英 慢性痛に対する心療内科的アプローチ

  • 症例 身体能力への破局的な認知のため、それをうまく利用できず、自己効力感が高まっていかない状態
  • どのような疾患であれ患者^治療者関係が治療には最も重要
  • 慢性疼痛患者はその内面に怒りの感情を抱えていることが多い。これが治療者に強い陰性感情をいだかせる
    • 怒りを前面に押し出してきてこちらが敬遠したくなるタイプ
      • 症状を訴えることで治療者を攻撃してくるタイプで他者に責任を転嫁することでつらい現実をうけいれることを回避しているタイプ
      • 患者の怒りに煽られた治療者は治せないヤブ医者のレッテルを貼られてしまうことをおそれ、器質的に異常がないことを痛みは患者の気持ちの問題であるという内容にすりかえて伝えることで、逆に患者を攻撃して自身の不安感を解消しようとする。このような不毛なやりとりによって、お互いが消耗し、不快感のみ募ることになる
    • まったくそれをみせずににこにこしていて「本当に痛いのか」「なおす気がないのか」と疑いたくなるタイプ
      • 笑顔で他人事のように過ごしている人には、失感情症傾向の強い場合が多い
      • つらい現実そのものがなかったかのように否認することで、なんとか過ごしている場合が多い。
      • 内省を深めたり治療動機を高めたりすることは困難で、治療者にいらだちを感じさせる
  • 心理学における転移、逆転移
    • 転移 患者が過去の重要な人物との間でたいけんした感情を目の前の治療者に対して再現させること
    • 逆転移 治療者の中に患者に対しての何らかの感情がひきおこされること
  • fear-avoidance model
    • 不安と回避の悪循環の中で痛みが維持されるという考え方
  • 慢性疼痛に移行するための危険因子
    • 急性期における不安や破局的な思考、行動の回避といった患者側の要因