身体表現性障害とは

宮岡等 身体表現性障害とは  こころの科学 2013;167:10-13

  • 「身体表現性障害と診断した」という表現を聞いたことがあるが、身体表現性障害は診断名でなく、身体化障害、心気症、疼痛性障害などいくつかの疾患をまとめたグループの名前である。したがって身体障害性障害と診断するのではなく、それに含まれる個々の疾患と診断されれば、「身体表現性障害に含まれる」といえる
  • 身体表現性障害とは字義通りに理解すれば、身体疾患のようにみえる精神疾患である
  • DSM-V 身体症状障害 somatic symptoms disorder
  • 診断における注意
  • 精神疾患でありながら診断の鍵を握っているのは身体科の医師であるという点は、その後の治療にも影響を与える
  • 慢性疲労症候群線維筋痛症など、身体疾患を示唆する病名であるが、自覚的な身体症状が主な診断根拠となる疾患には注意を払う必要がある。両疾患とも身体疾患としての中核群の特徴、たとえば検査所見などが明確になっていないため、身体表現性障害の中の各疾患が含まれている可能性がある
  • 治療について
  • 一般的に難治である。有効な薬物療法はないし、精神療法でも改善しないことが多い。医師にできることは、重篤な身体疾患ではないことを保証しつつ、自覚される身体症状とつきないながら生活していくことを長期間にわたって援助する程度となることが多い