身体表現性障害の診かたとその対応

 青木省三、三浦恭子、村上智子、山田了士 身体表現性障害の診かたとその対応  こころの科学 2013;167:14-18

  • このような経過を振り返ってみると、Aさんには、家庭やが学校での長期間の孤立があり、それが多彩な身体症状を生み出す背景になっていた。それだけでなく、彼女の強い孤独と不信の奥に、人を求める気持ちが動いていたと考えられた。身体症状を契機に、母親、女性心理士、同僚、友人とつながりが増えていくことによって、身体症状は改善していったのであった
  • Bさんのように、複雑な家族的、経済的な問題をもち、そのうえで身体症状を訴えてくる場合は、身体症状は治療や援助を受けるための「入場券」という役割を持つ。だが、身体症状への対応は、前述したように難しい。聞きすぎても聞かなくてもよくない。面接の焦点を、身体症状から現実生活での困っていることに移していくことが必要となる。そして、現実生活が少しでも生きやすいものとなるように応援していくことが大切になるのである
  • 身体表現性障害の患者さんは、身体症状でSOS信号を送っている。
  • 身体表現性障害の患者さんへの対応に際しては、身体症状への対応も大切なのだが、同時に患者さんの人間関係や日常生活に目を配り、それらが悪い方向に向かないように配慮することがとても大切になると考えているのである