横田敏勝 慢性疼痛の生理 MB Med Reha 2002;23:1-9

  • RA まだ特定されていない抗原に対する免疫反応
  • RAの初期の痛みは主として好中球、慢性期の痛みはマクロファージの反応によって起こる
  • 慢性疼痛の機序 Bonica 1989
    • 末梢機序:慢性の病変が組織あるいは末梢神経終末部に限局しているもの
    • 末梢中枢機序:最初の損傷または病変が末梢神経を巻き添えにして、何ヶ月、何年もつづく中枢神経系の機能変化を誘発するもの
    • 中枢機序:腫瘍、外科的侵襲、自己による損傷あるいは出血によって中枢神経系が損傷されて起こるもの
    • 心因性機序:精神的な理由によるもの
  • 現段階で直接原因が見当たらないのに、心因性といえない慢性疼痛がいくつもあって、多数の患者がそれに苦しんでいる。そしてそれの対象がしばしば理学療法の対象になる。
  • 腰痛
    • 一般に受入れられている原因 椎間板ヘルニア感染症、腫瘍、骨折、椎間関節炎
    • 腰痛患者の10-15%でこれらの異状を発見できるが、原因を発見できない例が85%存在する
    • 激しい運動が腰痛を来すという証拠はない
  • ありふれた慢性疼痛をともなう疾患の多くは病理学的な変化を示さない。近代病理学の教育を受けて育った人たちの多くは、病理学的な変化を示さない疾患の存在を受入れようとしない。このような態度が、痛みに苦しんでいる患者たちの問題を大きくしている。

本田哲三 慢性疼痛のリハビリテーション 1.総論 MB Med Reha 2002;23:10-14

  • Decartes 疼痛は感覚性経験の一種であり、その程度はおおむね組織損傷の程度に一致する
  • Engel 器質的原因に乏しい痛みの訴えを心因性疼痛を名付けた
  • Melzack & Wall Gate control theory
  • Fordyce 慢性疼痛患者の疼痛行動に注目
  • Fahrni back education

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  • Loecer & Melzack 疼痛の多面的モデルとその対応 身体因性疼痛と心因性疼痛の2分的理解からの離脱
    • nociception (侵害刺激) 病理の治療
    • pain (疼痛感覚) 神経ブロック
    • suffering (苦悩) 認知療法 教育、リラクゼーション
    • pain behavior (疼痛行動) 行動療法(オペラント条件付け)
  • 慢性疼痛プログラム施行上の注意
    • 安易に心因性ときめつけない
    • 痛み障害的に対応
      • 疼痛の器質的あるいは心理的検索をとりあえず中止し、患者とともにQOLの改善と痛みの管理法を探り、医療機関からの可及的な自立を目指す
      • 1 医療従事者がすべての痛みを取り除ける訳ではない
      • 2 痛みが必ずしも身体の重篤な障害を意味しない
      • 3 適切な身体活動はかえって痛みを減少させる
      • 4 痛みがあってもそれなりに生活を充実させていくのが長期的には痛みの軽減につながる
    • チーム全体でサポート
  • 患者は次第に苦悩が癒され痛みに支配されてきた従来の生き方から離れていく。そして徐々に痛みを人生の一部として受入れ、痛みとともに生き、そして痛みにも関わらず充実した人生を楽しむといった痛みの受容へとむかっていく