fMRIにおける急性疼痛関連脳活動の特徴.

倉田二郎:fMRIにおける急性疼痛関連脳活動の特徴. 麻酔, 53:S162-S167,2004

  • fMRI 0.2秒から数秒の高い時間解像度、1.5-3mm程度の細かいvoxel sizeが可能にする高い空間解像度
  • 活性化した脳神経細胞の周囲には、より酸素飽和度の高い血液が出現し、したがって還元ヘモグロビンの割合が減少する。還元ヘモグロビンは酸化ヘモグロビンに比べ磁場を乱す性質が強いため、還元ヘモグロビンが少ない血液ではT2*強調MRI信号強度が増加する。この信号変化はblood oxygenation level-dependent (BOLD) effectと呼ばれ、これを神経活動増大としてとらえるのがfMRIの原理である
  • 1995 Davisらが初めてfMRIを用いた実験を発表した
  • 疼痛関連領域 S1,S2,島、前帯状皮質前頭皮質など複数の離れた脳部位
  • 疼痛関連脳活動は、何らかの抑制性要素が含まれることが示唆された
  • 疼痛は他の神経ネットワークをも抑制する
  • BOLD信号時間経過を分析した結果、疼痛関連脳活動は疼痛刺激が続く間に早く減衰すること、また疼痛に関連しない眼振運動関連神経ネットワークへも抑制性の影響を及ぼすことが明らかになった。これは、上行性の感覚情報処理のみならず、下行性の情動・注意・認知的要素が複雑に絡み合う疼痛脳内機構の一端を示すと考えられる