痛みへのチームアプローチ メディカルソーシャルワーカーの役割

田村里子 痛みへのチームアプローチ メディカルソーシャルワーカーの役割 メンタルケア 1997;2:20-27

  • がん患者のトータルペイン
    • 身体的痛み、心理的痛み、社会的痛み、スピリチュアルペイン
    • 不安や恐怖の思いは、直接的に言葉として表出されるものよりも、内面に押しこめているものの方がはるかにおおい
  • 疼痛域値に影響をする因子
    • 低下させる因子
      • 不快感、不眠、疲労、不安、恐怖、怒り、悲しみ、うつ状態、倦怠、内向的心理状態、孤独感、社会的地位の喪失
    • 上昇させる因子
      • 症状の緩和、睡眠、休息、共感、理解、人とのふれあい、気晴らしとなる行為、不安の減退、気分の高揚、鎮痛薬、抗不安薬抗うつ薬
  • active listening 積極的傾聴
    • 聴くことで支える
    • 自己存在そのものを揺るがされ、苦悩している人のかたわらで、耳を傾けつつ存在することは大きな意味がある
    • 聴くという行為は、一件消極的な印象を与えるが、実際には非常に積極的で有効な支援方法である。
    • トータルペインの中にある患者と向き合いそばにいることは、患者のあるがままを受け入れ、かけがえのない存在として尊重していることを示す行為である。
    • ソーシャルワーカの傾聴は、個人のありのままを受け入れて、共感的に聴くことで自由に自己を開示し、人生観、人間観、死生観を語ることを容易にする。
    • 表出された言語の中に含まれる、その個人からのメッセージ、精神世界を聴くことは、個人自身が自己のスピリチュアルケアを覚知していくプロセスとなりうる
    • そして聞くことは、“痛み”の中にある患者自身が自己の存在や価値、人生の意味そして希望を再認識、再構築していくのを支えることである。
    • 聴くことが、孤独感や、孤立感から解放する
    • そして黙って耳を傾けることで、その苦悩へ近づき、“痛み”の緩和を支えることになる
    • また状況を明らかにし、的確に介入を行うことも、まず聞くことから始まるのである