- 慢性の痛みは、最近の疾患概念で示すと、機能性身体症候群(functional somatic syndrome:FSS)に属する。器質的疾患の検索に用いるような諸種の一般検査では異常を認めないことが多い。
- 病因追求論(pathogenesis)と健康創成論(salutogenesis)
- 慢性の痛みの治療の原則
- 第1ステップ 今、ここで患者を苦しめている痛みからの速やかな解放
- 第2ステップ 患者の痛みの全人的理解
- 第3ステップ 痛みのセルフコントロール
- 痛みの治療に際して、最も重要なのは「手当て」である
- 治療を妨げる因子
- 慢性化の中で「怒り」が強く潜在してしまっている場合
- きわめて依存性が高く、執拗に痛みを訴える「pain prone personality」の場合
- 自ら生きざまを変容する努力をせず、治してもらいたいとただひたすら訴える場合(原因が自らの生きざまにあることを納得できないなど)
- 疾病利得の場合
- 医師と人間関係が作れない場合
- 医師の常識を超える症状を訴える場合
- 怒りはだれかが受入れないと消滅しない
- 「語ることは食事以上に必要なことだ」 エリック バーン(交流分析を創始)
- 痛みをもつ患者さんの心理
- キュプラーロス 癌患者において ショックー否定ー怒りー取引ーうつー受容
- 日本人ではさまざまな心理反応が順不同に入り乱れる
- 昔の日本人は我慢強かったが、今の日本人は痛みに対する耐性は低い
- 日本人には退行が多い
- 慢性の痛みも患者も同様な反応を示す。とくに、怒りの感情やうつ、退行は痛みの患者さんに特異な反応であるといえよう。
- こうした反応は疼痛をいっそう増強させ、悪循環を形成する。またこのようにして出来上がった怒りをわたしたち医師に向ける患者さんも少なくない。
- 怒りのコントロールにはカタルシスが必要である
- 実存分析
- tuning in
- 治療にあたっては、まず医師が患者さんの痛がる部分によく手を当て、十分に患者さんの痛いに共感しなくてはならないことはすでに述べた。そのとき、診療の場で、医師が患者さんのこころにどのよにチューニングイン(患者さんのこころの琴線に触れる)するかがその後の治療効果全体に影響を及ぼす。バリントはこの事実を右に述べたように「医師という薬の薬理効果(Doctor as a medicine)」といった。