• 良好な患者ー医師関係はそれ自体が治療の一部となり得る
  • 良好な関係を築くためには、患者の話にしっかりと耳を傾けることである。長時間かけて患者の訴えをすべて聞くという意味ではなく、患者の考えや感情を読み取りながら、それを理解しているということをフィードバックするという意味である
  • 何らかのライフイベントやストレス状況そのものが痛みの原因となるわけではなく、そこから引き起こされる身体的変化や心理行動的変化などが円環的に関与し合って、疼痛が持続する構造を形成するのである
  • 痛みに対する不安と行動の回避との悪循環が痛みを慢性化していくという考え方は、fear-avoidance modelとして知られている
  • 心理社会的背景の聴取は単に情報収集の目的だけでなく、患者が自ら語ることによって心身相関について考えがおよぶようになるといった治療効果も期待している
  • 自分の痛みを認められるということは、それまでに積み重なってきた不安や不満、無力感、自己嫌悪などといった非機能的感情を軽減させ、疼痛の認識や対処行動に変化をもたらすことにつながる
  • 心身医学的治療とは、心身相関を考慮した疼痛の悪循環を変化させ、別のパターンに置き換えていくことにほかならない
  • 自分が治療において目標を達成できるという考えをセルフエフィカシー自己効力感という
  • 心療内科での痛みの治療は、どの段階においても患者ー医師関係が重要で、医師は常に患者の感情や考えを言語的にも非言語的にも確かめつつ尊重する態度が必要である。治療は患者が納得して期待をもって能動的に行うことが重要であり、患者が気乗りしない治療法を押し進めて治療効果を上げることは大変困難である