ストーリーで理解する痛みマネジメント6 痛みの評価(1)

永田将行, 江原弘之 ストーリーで理解する痛みマネジメント6 痛みの評価(1) スポーツメディスン 32 (8):43-46, 2020.

  • 慢性疼痛の評価
  • もちろん、痛み自体の評価を行いますが、痛みの悪循環に陥っている要因と考えられる心理状態や社会的状況についても評価します
  • 評価の構造化 痛みのアンケートは、口腔顔面痛における構造化問診が参考になります。
  • 痛みが長引いてしまっていることで、痛みが生活の中心に位置してしまい価値判断の基準となってしまっている可能性があります。痛いから調子が悪い、痛くないから調子がよいというように、判断のすべてが痛みを基準としてしまい、痛みから離れられなくなってしまいます。慢性疼痛の目標設定においては、痛みをなくすことではなく、日常生活、スポーツ活動におけるパフォーマンスの改善が目標になります。それために痛みだけでなく、生活や競技での希望を聞き、目標設定の参考にしていきます。
  • このとき、痛みを抱えた選手は、ケガの程度に見合わない過剰な表現を見せるかもしれません。また、まったく痛くないようなそぶりを見せることもあります。強い痛みで混乱していることもあるでしょう。そこで、介入者の先入観を介在させず、痛みの表現をありのままに聞くことが大切です。相手の訴えには寄り添いますが、治療者自身の気持ちや感情を入れず、中間的態度をいじするように気をつけましょう
  • 初回の介入、とくに主訴を聞く場面では、「この人は話をちゃんと聞いてくれる人だ」と選手が感じされるように、訴えを受け入れるという態度を示し、お互いの信頼を深めることに努めます
  • 介入者が間違いを正したくなってしまう反応を、動機づけ面接法では、「正したい反射」と読んでいます。
  • 介入者が正しいと考える、ある一方向に誘導するような説得をすると、説得されて方は、感情を害された、自由を侵害されたと感じてしまいます。そして、より矛盾した言動をとるようになってしまい、心理的バリアが強固に形成されてしまいます。