慢性疼痛のマネージメントについて

山田信一 慢性疼痛のマネージメントについて 臨床と研究 98(5):599-604,2021

  • 私たちはこの痛みの原因が不明とされた多くの患者を紹介され診察してきているが、痛みの原因は画像診断ができない(器質的な変化を伴っていない)だけで、機能的な面の評価が行われていないことが多く、機能面の回復から治療が行える症例も多く経験してきた
  • 慢性疼痛治療を行う上で重要なこととしては
    • 1 命に直結した問題点がない事
    • 2 原因が不明あるいは明らかでない場合であっても治療方法が存在する
    • 3 器質的な原因は画像診断できあにが、診察による診断は可能である
    • 4 セルフケアにより痛みを緩和させる方法が重要であること
    • 5 長い経過が必要であること
  • などを説明し治療を一緒に行っていくことを伝えていくことが重要である
  • 神経障害性疼痛は広く知られてきたが、よく知られているようで意外と見過ごされている痛みの原因として筋・筋膜性疼痛というのが存在する
  • 慢性疼痛治療は身体の痛みを緩和させることはもちろん重要であるが、なぜ慢性化しているのか、なぜ繰り替えされるのかという部分に目を向け、焦点を絞らないと決して良くなることがない
  • 神経ブロック治療にしても薬物療法にしても一時的には効果があっても、痛みが出現するような動作、行動を繰り返せば、痛みは繰り返し発生するのである
  • 患者が痛みの治療を求める際には、痛みの原因となった動作や行動を細かく追求し、治療とは別に痛みを引き起こすような動作や行動を改善できるよう、また改善していただけるように説明し、実際に行動を起こしていけるように指導をしなくては決して良くならない
  • 慢性疼痛治療は決して精神的な問題を追求するわけではない。多くが抱えている身体の問題点を、その人の日常生活の中から探っていくことから始めていただきたい。