慢性痛診療のアドヒアランス

高橋紀代 慢性痛診療のアドヒアランス Jpn J Rehabil Med 59*299-304:2022

  • 自己効力感とは、もともとは自分にはこのような行動が、この程度はできそうだという見込みのことを意味する心理学用語
  • 自己効力感を高める情報
    • 行動の成功・達成体験
    • 代理的な体験
      • 患者会での意見交換、問題解決方法を学ぶ
    • 言語的な説得
      • 言葉、態度による支援・信頼、励まし
    • 情動的喚起
    • 前向きな思考、気づきを高め、思い込みを解く
  • 心理的要素(感情、気分、睡眠など)が慢性痛にどのように関連しているかの患者の知識は十分でなく、多くの患者は痛みがあると、体に悪い部分があり、原因は体だと考え、心理的な影響を考慮することはほぼない。そのため、この知識のギャップを埋める教育が非常に重要となってくる
  • 教育では、最初に、そして何よりも重要なことは、「安心感を与える」ことである
  • 療法士と一緒に運動や作業活動に取り組むことで、不安感が軽減し、「やればできた」の経験を重ねることができ、恐怖回避思考を修正することに適している
  • 目標設定
  • 「効果がありそうな方法について何かアイデアがありますか?」「それを始めるには何をする必要がありますか?」などの質問で患者にとっての選択肢を整理する。医療者が「提案」という形でいくつかの具体的な方法について紹介することができるが、あくまで最終決定は患者自身が行うのが望ましい
  • ペーシングの目安を痛みではなく、時間や課題にするように教育し、適切なペーシングを患者自身が行えるようになると活動の範囲が広がる