身体症状症および関連症候群の認知行動療法

村松公美子 身体症状症および関連症候群の認知行動療法 心身医 2019;59(6):544−553

  • DSM-5における身体症状症
    • 身体症状の原因を強調することは抑え、症状の結果を重視する
    • 身体医学的に説明ができないことが、過度に強調されると、おそらく、患者自身の身体症状が“本物”でないことを意味しているととらえ、患者も医療者もそのような身体症状を持つことを屈辱的なもので有る考えてしまう可能性がある
  • DSM-5で次のことが強調されている
    • 1 身体症状症および関連症状群における身体症状の多くが、決定的な病因は不確かであることを認識する必要がある
    • 2 苦痛と障害が新たに強調され、身体症状は、過剰な苦痛(健康の悪く、嫌悪的で、侵入的であり不快なもの)を引き起こしている
    • 3 身体症状は、役割や身体的機能を過剰に損なわせ、過大な障害を引き起こしている
    • 4 したがって患者の対処、耐性、反応に焦点を当てる
    • 5 身体化は、病気に関連した思考や感情、行動に現れる
  • 機能性身体症状・心気症状の認知・知覚モデルでは以下の1−5の一連の連鎖の悪循環が、「心気症(機能性身体症状、心気症状)サイクルの病態を形成しているとする
    • 1 自分自身の生活を脅かす出来事が起こると、自分が病気になってしまったという疑念を患者の中に生じさせる
    • 2 もともと患者の中に存在していた良性の身体感覚に選択的に注意を向けさせる
    • 3 患者は、この疑念の確証になる健康情報に選択的に注意を払い、確証にならない情報は無視する
    • 4 良性の身体感覚は、ますます増幅しつづける。この現象を「身体感覚増幅 somatosensory amplification)」という
    • 5 患者は、自分自身の疑念を実証する「仮想の病気」を増長させる