身体表現性障害(身体症状症)

仙波純一 身体表現性障害(身体症状症) 薬局 2018;69(9):2849-2853

  • 身体表現性障害とは、身体のさまざまな不調を訴え、医療者が異常はないと説明しても納得せず症状を訴え続ける人たちをいう
  • 身体表現性障害おn治療では、身体と精神の両面からアプローチが必要である
  • 身体表現性障害は大きくは身体化障害(身体症状症DSM-5)と心気症(病気不安症DSM-5)にわけられる
  • 前者はさまざまな身体愁訴を訴え、医療者からの身体疾患はないという説明に納得せず執拗に治療を求める場合をいう
  • 後者は些細な身体的変調をがんなどの重大な病気にかかっていると確信して、何度も検査を求める場合などをいう
  • 治療では、身体症状の完全な消失を目指すのではなく、むしろ健康不安や症状に関連する不適切な行動を減らして、患者の生活機能を回復させることを目標とする
  • ベンゾジアゼピン系の抗不安薬はまったく推奨されていないことには留意すべきである
  • 医師の側は治療者としての無力感から、苦手意識や怒りなどの陰性感情をもちやすくなる。その結果、医師でしかできないこと、つまりひたすら薬物の処方に躍起となってしまう。薬物が次々と増量されたり、新しい薬物が上乗せされたりしてします
  • 薬物療法の開始時には、治療の目標と投与期間をあらかじめ話し合っておき、完全な症状消失などの非現実的な目標をたてないことが大切である
  • 身体表現性障害の治療では、薬物のみによる解決は難しく、精神科医と他科の医師の間で協同した診療を行うのが理想である