慢性疼痛患者作成医にならないために

木村嘉之:慢性疼痛患者作成医にならないために LiSA 2019;別冊 '19(春):53-57

  • ペインクリニック外来に出るようになって数年たつと、ブロック注射が効いているにもかかわらず長期に通院する患者が多いことに気づいた
  • 麻酔科医の対応としてできることは、初期段階から過干渉をしないことだと考える。痛みを訴える患者に対して干渉しないことは案外難しいが、重要なことである。事実、本症例は医師の過干渉によって疼痛行動が強化され、難治性慢性疼痛患者になってしまった
  • 私たち麻酔科医の対応として、まず身体的疾患に起因する痛みを見逃さないことが第一である
  • そして、身体的異常のない患者については、医師による痛みへの介入ではなく、痛みについての患者自身の考え方や行動を変化させることによって、痛みに対する自己対応を促すことが重要ではないかと考える
  • 現時点では、私は以下のことを気をつけて診療を行っている
    • 注射療法やオピオイド鎮痛薬といった医療依存を起こしやすい治療法を極力用いない
    • 押し付けにならない程度に痛みに関する教育をする
    • すでに慢性化している患者では少なからず廃用変化があるため、運動療法を導入する
    • 治療の過程で、患者の行動パターンや思考パターンが変化していることを患者自身に気づいてもらう