心療内科的アプローチのコツ 機能性消化管疾患の治療のコツ

水野泰之、福永幹彦 心療内科的アプローチのコツ 機能性消化管疾患の治療のコツ Modern Physician 2011;31(3):345-347

  • 心理療法の目的
    • 心の変化を介して身体症状の改善を図る
    • 症状によって起こっている障害の軽減を図る
      • 「この病気はね、すこし変わっているんですよ。普通は病気というと症状が出ないようにするのが大事ですね。ところがこれは症状が出ないようにすることではなくて、症状が出来ても大丈夫だったという経験を積み重ねることが大切なんですよ」
      • このように症状に関して患者がもっている枠を組み替えることがリフレーミングである。実はこの新しい枠は、回避しない行動によって症状が強くなっても弱くなっても成功というダブルバインド(二重拘束)も導入している
  • 信頼を得るまでの態度
    • 患者がどのような症状を体験しており何に困っているかを理解し、理解しているということを伝える
    • 症状に対する患者の病態理解すなわち解釈モデルを理解し、尊重する
    • 患者の症状、考えや行動が医学的に理解可能なものであり患者がおかしいわけではないことを伝える
    • 治療者は患者の辛さを和らげる可能性を提供する能力があり、継続的に治療する医師が有ることを伝える
  • 投薬や検査などは治療者の役割が大きいが、心理療法では、「治してもらう」から「自分で治す」という認識への移行が必要である
  • 心理療法のポイント
    • 良好な治療関係を構築する
    • 患者自らが行う具体的んあ変化を目標にする
    • 小さなステップを積み重ねる
    • 良い変化に注目する
      • 患者には「よい変化がないかを探しそれに気づくようになると、それはもっと大きく変化していく」という説明をしておくとよい
      • 「テストで80点をとってきた子供に20点も間違ったと指摘するよりも、80点もとれたということを強調したほうがもっとやる気がでて、次は85点くらい取れるかもしれない」などという例え話を用いて説明すると受け入れが良いようである