身体的苦悩症候群の治療モデル

太田大介、山田宇以 身体的苦悩症候群の治療モデル 医学と薬学 2014;71(9):1573-1581

  • 身体苦悩症候群は10の機能性身体症候群、身体表現障害をほぼ包括している概念であることが示されている
  • 太田によれば、森田療法の文脈で身体表現性障害を見た場合、患者のこうありたいと願う自己像と現在の自己像との乖離を埋めるものが各種の身体症状であり、その乖離に伴うさまざまな患者の情緒的な体験を治療者が理解し受け止めていくことが治療上重要である。身体化している患者の多くは情緒的側面の言葉による解釈にはなじまないため、そこでは治療者による積極的な症状の解釈は行わないが、治療画がそれを受け止めることによって症状が肯定んしていくというものである
  • ドイツではGPは「対話」療法を精神療法の一部として学び、デンマークでは、身体的苦悩症候群により特化した訓練プログラムが近年作られている
  • 身体的苦悩症候群は、消化器科クリニックでは過敏性腸症候群(IBS)、神経内科クリニックには線維筋痛症、内分泌または神経内科クリニックには慢性疲労症候群といったように、さまざまな専門医を受診している
  • ベルギーとノルウェーでは、政府主導で、慢性疲労症候群のためのクリニックの膨大なネットワークが構築されつつある
  • ドイツには心療内科がしっかり確立されているという特徴がある。ドイツにおける心身医学の起源は、精神医学というよりも、内科と精神分析に深く根ざしている。1970年代以降、精神医学や心理学の施設とは別に、心療内科(department of psychosomatic medicine and psychotherapy)が独立した一部門として確立され、教育と研究の目的をもった、独自の入院・外来施設を持つようになった。2007年の時点で、ドイツには151の心療内科が存在している