posttraumatic anger 理論的背景と臨床的意義

大江美佐里 posttraumatic anger 理論的背景と臨床的意義 トラウマティックストレス 2014;12(1): 53-60

  • 扁桃体を主体とした辺縁系 攻撃行動
  • 眼窩前頭皮質、前帯状皮質を中心とした前頭葉 抑制調節機構
  • 感覚系での処理、認知的評価の過程での要因により攻撃行動として表出されるかどうか規定される
  • Chemtob 
    • 怒りは認知、覚醒、行動の3つの領域からなる戦闘トラウマにおいて怒りは侵入症状であり、かつ覚醒亢進と敵意評価、対抗する行動の調節不全であると考えた
    • 調節不全に至る過程には脅威構造と関連しており、一定以上の脅威とみなされた場合、生き残りモードになり、攻撃行動を起こすとした
    • この理論には脅威による怒りの賦活だけでなく、抑制系も織り込まれているのが、特徴である。
    • 怒りの3領域の間には門があり、そこでの閾値によって怒りが行動面に現れるのか、認知レベルでおさまるのかが決まるとしている。
    • PTSD患者の場合、脅威の認知にバイアスがかかっており、通常であれば大きな脅威と感じられないような事柄に対しても脅威であるとして覚醒亢進状態になり、脅威構造から怒り構造へ移る
    • そして、関門の果たす閾値機能が働かず、最終的にはその場の文脈に全く適合しない形での怒りの噴出、攻撃行動が生じてしまうとしている
  • トラウマ体験後に頭の中でいつも思い返していること(rumination)が怒りの出現に関与している可能性も示唆された
  • 怒りは人間(被害者である自分、加害者である相手、援助者)を対象としたものもあれば、理不尽、不公平、運命といった、人物でないものに向けられる怒りもあることを説明している
  • 緊急事態から「脳・こころ・身体」が回復するしくみ pdf