- 医療費抑制に新たな視点 下 科学的根拠に基づく改革を 日本経済新聞 経済教室 2017/05/12 津川友介
- 欧米では政策の制度設計は科学的根拠に基づくべきだとの考え方が浸透している
- 医療経済学で最も基本的な数式は「医療費=P(医療サービスの単価)xQ(消費される医療サービスの量」
- 日本 外来は出来高払い、入院は一部入院支払制度 DPC 全体として薄利多売で収支を合わせている
- 出来高払い制度はQが適切なレベルより高くなってしまう
- 最も包括的な支払制度は人頭払い方式
- かかりつけ医が担当する地域の住民につき一定の固定額が支払われる
- 住民が医療費を使うほど医療機関は損をするため、かかりつけ医はできるだけ住民の健康を維持して医療サービスを消費させないようにするインセンティブが働く
- 医療機関の利益率は1-4%と既に低く、包括払いの設定額が低すぎれば経営破綻を招く
- 欧米の多くの国で、「医療の質に基づく支払い P4P」が併用
- 米国でのランダム化比較試験を用いた研究 貧困で健康状態が悪い人に関しては自己負担が増えることで健康への悪影響がある一方で、それ以外の人に関しては健康への影響はないことがわかっている
- 問題は自己負担が増えると、患者は医学的に意味がある医療と意味のない医療の両方を控えてしまうことだ
- 米国 「価値に基づいた医療保険 VBID」
- 日本は歴史的に診療報酬点数や自己負担割合に頼った政策をとってきた。経済成長もあり今まではうまく機能していたが、もはや限界に来ている。日本が医療の質を下げることなく医療費抑制を達成するには、医療経済学的に理論とエビデンスに基づいた、より綿密に設計された支払制度が必要になってきている