細井昌子 女丈夫症候群と慢性疼痛 ナラティブでみる日本人女性の危機 心と社会 2013 No. 152 p49-56

  • 通常は適応あるいは過剰適応 しているその女性たちが病理性を帯びるのは、強迫性を背景とした過活動傾向程度が強くなった時である
  • いわゆる、過剰適応している 女性たちと異なる以下の条件が複数そろった場合であるようである
  • 自分の率直な感情を感じ取り、他人に甘えることができない
  • 断るとが苦手で適切な自己主張ができない
  • 相当のことを自信が行い周囲に過剰に頼られることで初めて価値があると感じる(基礎の無価値感が強い)
  • 休んでいると怠けていると感じるため、掃除などの家事や編み物など強迫的に行う
  • 常に先手先手で物事を考えており、今ここの体験を楽しむことができない
  • 自分の周囲で葛藤状況が起こると、自分に不利な形で不和の解決を行う方法を選ぶ
  • これらの条件の成り立ちとしては、幼少期にさまざまな不快感情を実感してもそれを両親に特に母親が聞いてくれることがない場合、自身の感情は価値がないことだと思うようになり、自身の感情を敢えて意識に上らせたり、言葉にして人に伝えたりすることを学習できなかったという事態がある。そういった感情抑圧の傾向を獲得し、自身が役に立つ存在である場合にやっと自身の存在感を実感するようになっている。自身の感情を感じ取り、言葉に伝えて、感情を大切にすることができない傾向は、心身医学でいうと失感情症 alexithymiaと呼ばれる心理特性となって、心身医学的に注目されている
  • 交感神経優位の状態では、疲労感を感じにくく、体感を感じられない状態(失体感)になっている。
  • 身体的痛みがあるときに社会的疎外感があると、痛みの不快感が増大されることも医学的に理解されるようになってきている
  • 女丈夫症候群予備軍のひとがおられる場合は、「ゆったりしてはいけない」という幼少期から始まっている禁止令の呪縛から心理的に離れることを提案し、身近に素直な気持ちで話せる、安心・安寧の環境づくりを積極的に考えていただきたいものである