坂井美賀子、廣瀬宗孝、田畑麻里、松木悠佳、重見研司 難治性慢性痛における心理療法的アプローチの有用性 積極的傾聴と痛みの受容 ペインクリニック 2014;35(9):1227-1230
- まず患者の痛みに対する苦痛や環境、感情に「共感」することを行った
- 次に、「怒りの受容」として、患者が痛み体験の家庭で蓄積させた医療や他者に対する不信感や怒りを傾聴した。
- さらに「努力の承認」として、患者が今までに痛みとともに、あるいは痛みと戦って頑張ってきたことをみとめた
- 「生きることの肯定」「痛みの肯定」を行った
- 患者の痛みに対する態度を、痛みを受容できているか、痛みや痛みに関わる諸問題から逃避していないか、また、疾病利得のような隠れた痛みの依存はないか、の3項目に重点を置いて観察した
- さらに、「痛みから学ぶこと」を患者に表現してもらった。これによって、痛みはうまく利用すれば自己を成長させる重要なできごとになることを自覚し、痛み受容の一助とした
- 症例
- 怒りや不満を減らすためには、痛いの原因を他者に求めることを止め、痛みを受け入れる必要があることを徐々に指摘した
- 考察
- 受容的な正確より攻撃的な性格の方が怒りや不満が蓄積しやすく、不公平待遇(兄弟間での親の待遇が異なる兄弟葛藤など)や社会的疎外感、社会的劣等感も痛みを増強させる
- 対話を通して、患者は困難からの逃避など自分の弱点との対峙することになり、医療者はその過程をサポートをすることになる。これらは医療者が積極的に導くものではなくて、弱点と対峙する患者が自身の葛藤を通して体得していくものである