くり返す子供への痛みへのアプローチ

石崎優子 くり返す子供への痛みへのアプローチ ペインクリニック 2014;35(7):925-929

  • 日本小児心身医学会では、2009年に子どものくり返す痛みの発生機序、情緒・心理的要因による修飾、初期対応について、国外の海外のエビデンスと専門家の意見を集約して「くり返す子どもの痛みのの理解と対応のガイドライン」をまとめた
  • 子どもの痛みは、「病変部位を知らせる」信号(生理的な反応)と同時に「心の痛み」(情緒的な訴え)の表現でもある
  • 国際疼痛学会の定義 痛みにはどこがどれだけいたいという判別的要素と、それを不快で苦痛と感じる情動的要素が混在している
  • 乳幼児期から学童期 感染症や外傷による急性の痛みが多い、腹痛
  • 年長になるにしたがって、心理要因の関与する不定愁訴や繰り返す痛みが増える 頭痛や他の部位の痛み
  • 他者の助けを借りて乗り越えることも、子どもにとっては生きていくうえで必要なソーシャルスキル
  • 機能的疼痛とは各種検査に異常を認めないために、詐病、仮病とみなされることがある しかし、機能性は仮病、薬物は不必要であることを意味するのではなく
  • 内臓や直腸の知覚過敏のように、機能性疼痛には知覚神経や自律神経の機能異常が存在することが多い 偏頭痛や過敏性腸症候群は末梢神経の機能異常によりおこる機能性疼痛の代表的であることを念頭において 機能性疼痛の患者へ声かけに注意する
  • 学習性疼痛 患者や家族が痛みの訴えに振り回されるのみならず 治療者までもが各種鎮痛薬を用いて痛みの完全な消失に固執すると、子供の疼痛行動はさらに強化される
  • 具体的には、痛みの訴えに共感した上で、患者と家族に痛みが危険なものではないことを説明し、痛みに耐える方法を指導し、痛みの訴えが軽減したら褒める、安心させる
  • 繰り返す痛みの治療目標
  • 医学的治療による痛みの完全な除去ではなく、1痛みに対する耐性を高め、2痛みのある生活を受容し、3日常生活の行動範囲を広げ、4社会生活への適応を改善していくこと
  • 痛みというものが自覚症状であり、患者の主観的な訴えである以上、初期対応は子供の痛みへの共感から出発しなければならない
  • 子どもの痛みの認知には、周囲、特に母親の不安や抑うつが関連している したがって、痛みの制御には保護者を安心させることが重要である