患者ー医師関係構築に焦点を当てた慢性痛難治症例のマネジメント:両

西木戸修 患者ー医師関係構築に焦点を当てた慢性痛難治症例のマネジメント:両親との関係性が病態に影響した慢性痛の2症例 ペインクリニック 2014;35(7):949-957

  • 心理アセスメントの重要性は認識していたが、アセスメントを行うと診療時間が長くなり、外来業務が滞ると考えていた。しかし、実際心理アセスメントを踏まえた診療を行うと、患者ー医師関係が良好となり、診療時間が長くなる診療場面が少なくなった
  • 若い女性の慢性痛患者の中には、幼少時に十分母親に甘えることができず、今だに母に甘えたいと思っているという患者がいる。しかし、素直に母親に対して甘えいることもできないのも事実である。そのために、種々の痛みを身体化してくる。甘えたいけど、甘えたいと言えない年齢になっており、自分でもどうしていいかわからないのである。母親自身は娘がそのような思いを持っているとは知らないので、通常の大人の付き合いをしてくる。そのようなすれ違いが続き、慢性痛としての症状を通して母娘の関係性をもっているのである。このような環境下で生まれ育った娘が母親になると、子どもに対してどのように接してよいかわからず、戸惑ってしまう。子どもへの愛情表現が十分にできていないと、子ども同様な身体化症状が出ることがある。母性愛の欠如による痛みの連鎖である
  • 父親からの虐待(DV)と母親からの絶え間ない監視状況に置かれたことが、痛みの遷延につながっていると思われる。
  • しかし不思議とそのような女性がDVするような男性に惹かれることが多いのは、不思議としか言いようがない。また、母親から常に監視されているという環境は患者を不安にさせる。つまり、安全地帯である自宅が、最も気の抜けない戦闘地域であるようなものでえある。