慢性痛治療において患者の変化を待つということ:アサーショントレー

山本洋介 慢性痛治療において患者の変化を待つということ:アサーショントレーニングコーチングが有効であった症例経験から ペインクリニック 2013;34(10):1427-1431

  • 慢性痛の心理的病態を考える上で、実生活での過活動は一つのキーワードになりそうである。慢性痛の病態仮説として、難治性の慢性痛患者では、安静時に抑圧された過去の不快情動が湧き起り、養育でのつらい感情体験の記憶や実生活でのもやもや感を、筋肉や脳を休ませることなく何かをし続けようという過活動で過活動で晴らすという対処法を行っているメカニズムが提唱されている。その結果、筋の機能的な痛みが生じやすい。
  • 過活動は周囲からみると、「元気である」ようにみえるため、病状に合わない要求を周りから依頼され、それをさらに断れずに心理的苦悩が増大していき、「自分の苦痛・苦悩をわかってもらえない」といういわゆる社会的苦痛の存在もうかがえた
  • アサーショントレーニング アサーティブな表現とは、自分も相手も大切にする自己表現
  • 慢性患者と接する場合、治療者も悩み、ストレスを感じる場面は多数ある。特に、自己主張困難の問題を抱えて、過剰適応の行動を続けている症例では、その無力感が強く、悲観的な展望にはていねいに寄り添い、その変容への意志を支え、その成長を待ち、本人の自発的な動きを支えていく時には、治療者のリズムとかなり異なる異なる時間の感覚が必要である場合がある。