疼痛の治療 腹痛

浦川彩子、水野泰行、福永幹彦 疼痛の治療 腹痛 Modern Physician 34(1): 33-36, 2014.

  • 心身医学的治療のコツ
  • 心身医学的治療を有効に機能させるには、良好な治療関係が土台となる。傾聴、受容、共感などの基本的な態度をとりながら、患者の症状を理解することに努め、ていねいな診察を行う
  • 辛さを李返してもらえたと感じるだけで、症状が軽減する場合もある
  • 患者の解釈モデルを理解し、可能な限りそれを尊重した上で、診察や検査の結果から想定される病態説明を患者の理解できる言葉で行い、症状軽減に有効な治療方針を患者とともに断てることを目指す
  • 病態を理解する過程で、患者の心理社会的背景を考慮することは重要だが、むやみにこれを強調すると痛みは心理的なもの、すなわち「気のせい」だといわれていると感じさせてしまう場合があり注意が必要である
  • 認知行動療法的なアプローチ
  • 患者自身が増悪緩解因子を自己観察し、セルフコントロールを行えるようになることを目指す
  • 破局化と呼ばれる、「現在および将来の痛みに起因する障害を過大評価するとともに、そのような考えからも離れられなくなっていく過程」が症状を遷延させていくことも多い
  • 一見望ましくない対処行動と見えるものであっても、患者がそういった対処を選択する気持ちを理解、受容した上でそれを肯定的に位置づけ、さらに良い方向への変化を促す
  • ☓「何も食べないせいで栄養障害が起こっているので、痛くても頑張って食べましょう」
  • ◯「食べると痛みが悪化するからあまり食べないようにして、あなたりに工夫してきたんですね。でもこのままでは辛いでしょうから、すこしづつ食べられる方法を、一緒に探していきましょう。」
  • 具体的な治療方針には、患者が自分でできる行動目標を取り入れ、これが達成できた時には賞賛することで、患者は自分で対処していける自信(自己効力感)が高まり、また望ましい行動が強化される