p24 心を開くアプローチ
- カールロジャース 1902-1987 client-centered approach
- 何が重要な問題か、どんな経験が深く秘められているのか、などを知っているのはクライエント自身である
- 治療者が主導権をとるのではなく、カウンセリングをうけ当人(クライエント)が主導権を持てるように対話を行うことが、問題解決に最も有効であることに気づき、クライエントセンタードセラピーと呼ばれる方法を確立した
- もっとも有効な対話の方法は、相手の話をできるだけ邪魔しないように、その思考の流れを上手に助けること
- 対話がもつ2つの基本的な働き
- 「安心感を高める」「考えを練り、高める」
- 共感的作用と、弁証法的作用
- 対話が成立するための条件 安心感を守る
- 相手がよく話す状態を作っていくことが、親密さや信頼を深めていくのには有効なのである。その第一歩が、聴くという姿勢なのである
- 2つの共有 関心の共有、気持ちを共有
- 関心を共有するという姿勢は、その人を元気にするが、逆にその人の関心とは無関係なことを押しつけようとすると、どんどん悪化する
- 対話をスムーズに成立させ、それが人を動かす力になる為には、関心を共有することと、本人の主体性を尊重することが重要。もう一つ重要なのは気持ちを共有すること、すなわち共感
- 共感を土居健郎は、「心を汲むことだ」と述べているが、近年、共感は「頭でわかる」認知的共感と、「気持ちでわかる」情動的共感の2つの要素から成り立っていると理解されるようになっている
- 変化を引き起こす3つの要素 「正確な共感性」「非支配的な温かさ」「誠実さ」
- 情動的共感 「本当に大変な思いをしてきたんですね」「よくここまでやってきましたね」
- 認知的共感 相手の話す内容をなぞったり、確認したり、言い換えたり、要約したりすることで、こちらの相手の話をどんなふうに理解したかをフィードバックすることが重要。リフレクティブリスニング(反映的傾聴、映し返しの傾聴)
- リフレクティブリスニングの4つの基本的技法
- 木魂(こだま)のように相手の言葉をそのまま繰り返す
- 「――ということですね?」と言い換えたり要約して理解が正しいか確認する
- 「それは、どういうことですか?」「そのときは、どんな気持ちでしたか?」と質問して、もう少し詳しく話してもらう
- 「もしかしてーーではありませんか」と質問して、こちらが汲みとったことや推測したことを伝える
- 肯定的に反応するのが基本
- 陥りやすいもう一つの落とし穴は、ほめすぎてしまうこと
- 重要なのはバランスであり、また、変化を見落とさないことである。大きな変化よりも、小さな変化が重要である。小さな変化が兆し始めたとき、すかさずそれを認めて、肯定的な評価を与えることが重要なのである。それが変化を確実なものにしていく
- とどまりがちな岩を動かし続けるには、中立的な立場を保持しつつ、肯定的な評価を適宜与えていくことが非常に重要である
- 概して言えることは、否定されて育った人は伸びず、能力を半分も生かすことができないケースが多く、否定されて育った人は、もてる力よりも大きな結果を残しやすいことである