谷川浩隆 心療整形外科 日本運動器疼痛学会誌 2013;5:43-48

  • 心身医学的アプローチは精神科や心療内科だけではなく、身体疾患を診るすべての診療科が取り入れるべき方法論であり、運動器疾患を扱う整形外科でも当然必要である
  • 運動器疼痛の原因に心理的要因が関与していても、患者自身には疼痛という身体症状として感知され表現される。そのため患者は精神科や心療内科ではなく、整形外科を受診したい、という傾向が明らかにある。このような患者に対して、精神科や心療内科ではなく、整形外科だからこそできる心身医療の可能性がある
  • 機能性疼痛は次の場合にわけられる。1検査では身体的器質的原因がないが、検査でわからない器質的原因があるもの 2心因によるもの
  • 運動器心身症における注意点
    • 患者は疼痛の原因が器質的であると確信しているため、心身医学的な治療アプローチを拒否する
    • 同じ抗うつ薬でも心理的治療をすることがわかっている精神科医心療内科医が投与するのと、身体的治療を期待されている整形外科医が投与するのでは、患者にとっての意味合いが全く異なる
    • 心身症は副作用も身体化する
  • 心身医学の門外漢であるから治療が進まないかというとそうではなく、逆にどこかに必ず身体的な障害があると確信して診断治療を進めていく医師の姿が、患者の信頼感を増し不安を払拭させることになる。患者の医者の双方が心理的要因に全く気づかないからこそ心理的治療が進むという現象が生じる