慢性疼痛疾患における前頭前野の機能低下とリハビリテーション介入の

大住倫弘、森岡周 慢性疼痛疾患における前頭前野の機能低下とリハビリテーション介入の可能性 pain rehabilitation 2012;2(1):23-28

  • DLPFC 背外側前頭前野
    • DLPFCは注意・ワーキングメモリ・プランニング・概念などに関わる部位であると共に、下行性抑制系を介して、痛みを調節する部位であると考えている。以上のことから、慢性疼痛患者は思考に関わるDLPFCの機能低下が、痛みの調節機構を破綻させ、痛みが増大していることが示唆される。一方で、思考に関わるDLPFCの機能の正常化が痛みを軽減させていることも報告されている
  • 前頭前野とACC-PAG-RVMのシステムの活性化によりトップダウンに鎮痛が生じることが考えられる
  • 注意による鎮痛
  • 注意による鎮痛は、DLPFC-ACC-下行性疼痛抑制系のネットワークが機能することや、DLPFCが側坐核の活動の促進・扁桃体の活動を抑制することによって生じることが考えられている
  • リハビリテーションにおいても、単純に痛み注意が向かないように工夫するだけではなく、不安恐怖といった内的に生成されるものに対しての思考そのものを改変させ、痛みから注意を解放するような手続きが必要であると考えられる
  • 痛みの再解釈reappraisalによる鎮痛
  • 不快な情動を喚起するような写真に対してポジティブにreappraisalするように求められると、VLPFCが活動するという報告が多くなされている
  • 慢性疼痛患者では下行性疼痛抑制系が機能せず、habituationが生じにくいことが多く報告されていることから、痛みに対してのネガティブな思考を変えることが、VLPFCと下行性疼痛抑制系とのシステムを機能させ、慢性疼痛の予防になる可能性が考えられる