神経障害性疼痛の中枢性機序

平野茂樹 神経障害性疼痛の中枢性機序 Brain and Nerve 2012;64(11):1267-1272

  • pain matrixは機能的に主に4種類に分類することができる。(1) 感覚認識:一次体性感覚野、視床、島皮質、(2) 注意:前部帯状回前頭前野、(3) 下行性疼痛調節:中脳水道灰白質、(4) 運動ー感覚統合:補足運動野、被殻、島皮質、小脳である
  • 脳機能画像研究結果から、慢性疼痛は情動や感情と関連して線条体ドパミン放出の低下やオピオイドの放出が増加している病態や炎症の機序が示唆され、異痛症には注意ー感覚ー運動関連の障害が関与していると考えられる。なお、疼痛に関連した脳機能研究には以下に挙げられる多くの難しい課題がある。1.疼痛患者の原因疾患や疼痛部位を揃えること、2疼痛由来の脳活動と意識・注意・予測・不安などの精神心理的脳活動を独立して解析すること、3.疼痛患者の非障害部位が正常とは必ずしも限らないこと、4.疼痛の程度を調節すること、5.薬理学的な脳活動変化を疼痛由来脳活動と区別することなどである。
  • 疼痛の脳生理や活動ネットワークを明確にすることができれば、局所脳活動を抑制する経頭蓋的磁気刺激が治療法となる可能性もある