腰痛診療ガイドライン

竹下克志 腰痛診療ガイドライン ペインクリニック 2013;34(1):7-14

  • 急性腰痛に安静は禁忌
  • コルセットは慢性腰痛には効果が示されていない
  • 運動療法有効 運動の内容や量、頻度などの最適値が示されていない点が大きな課題である
  • 認知行動療法 腰痛の発症や慢性化に患者の心理要因が強く関係していることには高いエビデンスがある。;患者の腰痛に対する認知と行動に対するアプローチとして、教育や認知行動療法がある。特に認知行動療法は有効とされている
  • 神経ブロック治療は神経根痛には効果があるが、腰痛についてはエビデンスがない
  • まとめ
  • 急性腰痛に関しては、これまでの安静治療に対する問題を認識し、できるだけ早期の活動開始を促すことである。これは、かつての入院安静治療とは正反対の治療方針であるが、認知行動的観点からも望ましく、最終的には早期の疼痛軽減と機能回復につながる。これはすべての第一線の医師に理解いただきたい点である
  • もう一点は、初診時の非特異的腰痛では画像診断を行わないことである。これには、ほとんどの腰痛患者が重篤な腰痛関連疾患を有しないので、画像撮影の対費用効果が余りにも低いことと、わずかとはいえ被曝が理由となっている
  • 慢性腰痛には運動療法認知行動療法が最も有用であろう
  • これまでの腰痛に対する手術治療における最大の問題は、診断制度の低さ、すなわち様々な原因からなる腰痛を分類できなかったことにある。今後、診断法が向上すれば、非特異的腰痛の何割かは”非特異的”のレッテルが取り去られ、その一部では手術療法が推奨されることとなる可能性が充分ある