前頭葉における自己と他者の動作表現

磯田昌岐、吉田今日子 前頭葉における自己と他者の動作表現 clinical neuroscience 29(8);900-904;2011

  • Gallagherは、ヒトの自己意識に関する概念として、narrative self(過去から現在、あるいは未来に至るまで、時空を超えて維持される統一的な自己感)とminimal self(動作遂行など、特定の経験に付随して一時的に生成される自己感)を提唱し、さらにminimal selfが動作主体感(sense of agency)と身体所有感(sense of ownership)に分類されるとした。動作主体感とは、ある動作を遂行あるいは経験しているのは自分自身の身体であるという感覚に相当する。前頭葉内側皮質で同定された動作主関連細胞が、動作主体感や身体所有感の生成ににどのように関与するかを明らかにすることは、自己意識のメカニズムを解明するうえで重要である。最近の研究結果は、ヒトの前頭葉内側領域が動作主体感とより密接に関連していることを示唆している。