紺野慎一 ドパミンシステムと痛み 臨整外 2011;46:343-346
- 慢性疼痛患者に対する整形外科医の果たすべき役割は非常に大きいが、患者の期待に十分にこたえていないのが現状といえる
- 中脳ドパミンシステムとは、腹側被蓋野(VTA)から、側坐核(NAc)や腹側淡蒼球(VP),前頭前野(PFC)、扁桃体(Amyg)などへ軸索を伸ばしているドパミン回路をいう
- 痛み刺激が加わると腹側被蓋野から大量にphasic dopamineが放出される。Phasic dopamineの放出により、側坐核や腹側淡蒼球でμ-opioidが産生され、痛みが抑制される
- ドパミンシステムが機能不全に陥る原因 ストレス、不安、うつ
- phasic dopamineの放出は、痛み刺激のみでなく、快楽や報酬の期待によってもおこる
- plesure-related analgesia 心地よい匂いやイメージ、好きな音楽、好きな食べ物
- phasic dopamineはtonic dopamineにより制御されている。
- ストレス、不安、うつなどが存在すると、海馬がシナプス前抑制として働き、腹側被蓋野からtonic dopamineが放出される。Tonic dopamineが増加すると、痛み刺激に対するphasic dopamineの反応性は低下し、十分なμ-opioidが産生されなくなり、痛みは増幅されていく
- プラセボ効果にはドパミンシステムが関与している。治療に対する患者の期待が高いと痛みの抑制につながる。