長引く頑固なつらい痛みの薬物療法2011 運動器編

長引く・頑固な・つらい痛みの薬物療法2011(運動器編)

長引く・頑固な・つらい痛みの薬物療法2011(運動器編)

  • p3 高齢者の持続性疼痛に対する第一選択の薬物は、アセトアミノフェンとしている学会もある
  • p12 慢性の痛みを有する患者の診療は、従来の「痛みの原因となる器質的病因を探す」診療だけでは不十分で、「痛みのよる機能障害の程度を知り、痛みのそのものを治療の対症にする」という考え方が必要になってくる
  • p15 痛みを対象に診療する場合、疾患の診断だけでは不十分で、痛みの病態評価、すなわち、1組織の炎症や神経の障害 2中枢神経系の機能的変化 3心理的状態や心理的要因の関与 などの痛みを修飾する因子の評価方法を学ぶ必要がある。さらには、4患者個人の価値観や環境要因 まで考慮に入れなければならないことも理解できるであろう
  • p21 侵害受容性の痛みには、NSAIDs,アセトアミノフェン、麻薬性鎮痛薬が効果的で、神経障害性疼痛には消炎鎮痛薬は効果が少なく、抗けいれん薬や抗うつ薬が第一選択となる。
  • p24 抗うつ薬の抗うつ作用が発現するには最低2週間かかるとされている一方で、抗うつ薬が痛みに効果を発揮するには、数日程度と比較的短期間で効果が現れるとされている。
  • p30 アセトアミノフェン 侵害受容性の疼痛に有効 鎮痛作用機序は未だに不明 NSAIDsのような消化管障害や腎障害は少なく、安全に使用できる。従来本邦で認められてき900mg/dayの使用では効果が十分でなく、一回1000mg,一日5000mgまで増量可能である。持続性の痛みの場合には一日4回の服用が必要である。注意を要する副作用は肝機能障害
  • p34 医療者は「いかがですか」「変化はなかったですか」など開かれた質問(open question)をし、治療に対して患者が感じたことをそのままを表現できるように努めたい。
  • p41 痛みへのとらわれの評価 痛みにとらわれている患者の思考傾向として、痛みのことを何度も考えてしまう(反復)、痛みを必要以上に強い存在と考える(拡大視)、痛みから逃れる方法はないと考えてしまう(救いのなさ)傾向がしばしば認められる。このような痛みにとらわれた思考傾向を、”痛みの破局的思考 pain catastrophizing”と呼ぶ。痛みに対する破局的思考は疼痛遷延化の危険因子として知られ、神経障害性疼痛に限らず線維筋痛症や非特異的腰痛など慢性疼痛疾患患者でその傾向が高いことが知られている。