松永美佳子、柴田政彦、中尾和久、真下節 Hospital anxiety and depression scale(HAD尺度)は慢性疼痛に対する認知行動療法の効果判定に有用である 日本ペインクリニック学会誌 2004;11(2):100-106

  • Hospital anxiety and depression scale
    • 1983 Zigmond
    • 各項目4段階評価 対象者の抑うつ、不安状態を測定 自己記入式 身体症状の影響をうけない
    • 14項目、5分間
  • POMS profile of mood states
    • McNair 感情状態を測定 自己記入式 抑うつー落ち込み、緊張―不安、疲労、怒りー敵意、活気、および混乱の6気分尺度
    • 65項目、10分間
  • 自己記入式心理テスト(MMPI,Beckうつ病尺度,Zung自己評価式抑うつ尺度SDS) 被検者が身体的症状をもち合わせていると、その評価が過大となり、うつ状態が強く判定されてしまう
  • 疼痛教室
  • 治療開始早期離脱者 自分の痛みがこのような治療法でなおるわけがないと信じ込んでおり、自律訓練法に取り組むことができない。また、身体のどこかに器質的な異常があるに違いないと考えており、新たな神経ブロック療法や手術療法を強く希望していた
  • Dicken HAD尺度を用いて、慢性腰痛患者における疼痛行動と抑うつ、不安、身体症状、痛みのつよさなどを評価し、疼痛行動と抑うつ、不安は関係なかったと報告している。ただし、性別にみると男性のおいては、相関関係があったとしている
  • 慢性の痛みは抑うつの身体症状の一つではないかといわれている。
  • 抑うつ、緊張、不安など、ほとんどすべての慢性疼痛患者の存在するこれら、陰性の感情の改善が、疼痛行動の改善を導き、その結果として痛みの軽減が生じているように思われた
  • 慢性疼痛は定義上6ヶ月継続する痛みとされているが、ある日突然、慢性疼痛に変化するのではなく、急性疼痛から徐々に移行していることはいうまでもない。難治性の慢性疼痛への移行を防ぐには、早期に対応することが大切だと思われる。急性期の時期からこのような簡単に試行できる心理テストを試行し、その時々の心理状態を把握し、治療に役立てていくことが必要と考えられた

伊藤之一、木村智政、小松徹 ペインクリニック初診時の心理テストの結果と治療効果、病悩期間との関係 日本ペインクリニック学会誌 2005;12(4):380-384

  • 疼痛は心理状態に影響を与え、また心理状態によっても疼痛は増減する
  • Hospital anxiety and depression scales (HAD尺度)
  • 病悩期間が長くなるほど抑うつや不安が強くなる傾向にあるとはいえなかった
  • profile of mood states 1971 McNair
    • 緊張、抑うつ、怒り、活気、疲労、混乱の6つの因子が同時に測定できる
    • 65の質問項目に答える必要があり、検査時間は約15分を要す
  • 抑うつや不安が強いと治療抵抗性であるといえるか、また疼痛が長期に及ぶ症例では抑うつや不安が強くなる傾向があるかを検討したが、結果はどちらも否であった
  • 抑うつや不安が少ないと痛みが治りやすいともいえなかった
  • 疼痛は心理状態に影響を与える。しかし初診時のHADによる抑うつや不安が強いほど難治性であるとはいえず、また病悩期間が長いほど抑うつや不安が強くなるともいえなかった