矢吹省司 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛 Bio Clinica 2008;23:416-423
- 症例1 右坐骨神経痛がある時点と、症状がなくなった時点でMRI撮像。どちらも神経根の圧迫の程度に差がなかった
- 症例2 坐骨神経痛で、L4/5,5/Sにヘルニアあり。L5神経根ブロックでは症状消失なし。S1神経根ブロックで症状消失
- これらの事実は、腰椎椎間板ヘルニアの存在自体またはヘルニア腫瘤による神経根圧迫のみが腰椎椎間板ヘルニアによる腰痛や坐骨神経痛の病態ではないことを示唆している。
- その他の説明 炎症説 TNF-alfa, DRGでの変化
- 実験1
- ラットの椎間板髄核をDRGの近位に留置。対照は筋肉片留置
- 髄核留置群 DRGの血流減少、endoneurial fluid pressureの上昇、DRGの明らかな浮腫
- 実験2
- DRGに髄核を留置すると、足底の血流が減少
- 実験3
- L5神経根に髄核を留置すると、足底pinch刺激で腰髄WDR neuronでの持続する異常放電
- 実験4
- 異常放電が抗TNF-alpha抗体にて抑制
- 臨床検討1
- 片側下肢症状のMRI ヘルニア群で症状側のDRGは、水分に富み、大きい
- 臨床検討2
- 考察
- 実験より、椎間板ヘルニアによる下肢症状は、DRGのコンパートメント症候群
- 症状発現には炎症性サイトカインが関与か
コメント ヘルニアモデルで、DRGの血流減少、endoneurial fluid pressureの上昇、DRGの浮腫を示しているが、これらの結果と下肢痛との関連は示されていない ラットは痛みを訴えない。痛み行動はどうだったのだろうか?