紺野慎一 なぜ「腰痛」はおこるのか ilihori 2010 No 3 110-119
- 腰痛患者は加齢に応じて増えていくと考えられていたが、実はそうでなく、世代にかんけいなく日本人の3人にひとりが腰痛を患っている
- 腰痛の原因は、その85%がわかっていません。
- 腰痛に関わる心理社会的要因
- 手術しなければならないほどのヘルニアを持っている人と、同じようなヘルニアをもっているのに症状がでない人の間にはどのような違いがあるか?
- 1 ヘルニアが神経根を圧迫している度合いがあきらかに多い
- 2 仕事上に問題あり
- 3 ストレスうつなどを抱えている人が多く、家族間に問題があったり、結婚生活が順調でなかったりという傾向
- ヘルニアで腰痛を訴える人にはこれらの3つの要因がほぼ同比重で見出された
- ヒトは、痛み、快感、報酬といった刺激があると、脳の腹側被蓋野という部分からフェージックドーパミンという物質が放出され、それが側坐核や淡蒼球に到達すると、μオピオイドという物資(内因性の麻薬)が放出されることがわかっています。このμオピオイドが痛みの伝達を抑え、痛みを抑制すると考えられています。
- 不安がよくなれば痛みもよくなる
コメント ヘルニアで手術あるなしで、3つの差を指摘している。この元文献を読んでみたい。これがもしretrospective studyであれば、手術適応に外科医のバイアスがかかっている可能性は否定できない。すなわち画像所見がつよければそれだけ手術になる割合が多くなった結果、手術例に画像所見が大きいと言う結果になっただけではないか。とすると、手術あるなしをわけるのは2,3のみとなる。2,3の因子を手術で治療できるであろうか?
追記 4/23 引用文献と思われるもののabstractをpubmedから手に入れた
Boos N, Rieder R, Schade V, et al : The diagnostic accuracy of magnetic resonance imaging, word perception, and psychosocial factors in identifying symptomatic disc herniations. Spine 1995;20(24):2613-2615
study designに prospective studyとあるものの、 46例の back pain and sciatica があって severe enough to require a discectomyと 46例の age-, sex-, and risk-factor matched asymptomatic volunteersを比較している。(手術しなければならないほどのヘルニアを持っている人と、同じようなヘルニアをもっているのに症状がでない人の間にはどのような違いがあるかではない) age- ... matched volunteersとはretroのときに対照として扱う方法ではないか?またenough to require a discectomyというところでsurgeonのbiasがあることは否めないと思われる。