陥入爪

#1 大慈弥裕之 陥入爪・巻き爪の治療 形成外科 2004;47:S370-S375
#2 町田英一 マチワイヤ、マチプレートを用いた巻き爪矯正治療 MD Derma 2007;128:42-48
#3 畠山昌樹、橋本道夫 超弾性ワイヤーによる陥入爪の保存的治療 東北整災誌 2004;48(1):74-75
#4 入谷哲史、角谷徳芳、伊藤芳憲 ステンレスワイヤーによる陥入爪の治療法 形成外科 2008;51(11):1344-1347

#1  

  • 定義
    • 陥入爪 ingrown nailは、爪甲側縁が外側爪洞内の皮膚軟部組織に刺さり、炎症をおこす状態である。疼痛や側爪郭の発赤腫脹、感染、不良肉芽を生じる
    • 巻き爪 pincer nailは、爪甲の横弯が強くなった状態
  • 原因
    • 陥入爪の原因は深爪であり、巻き爪は靴が原因とされている
    • 陥入爪は保存療法でも手術でも再発率が高いことが知られている。
  • 保存療法
    • 深爪については爪の切り方を指導。爪甲側縁の先端が外側爪洞の遠位端を乗り越えるだけの長さを保っておく
  • ICの注意点
    • 陥入爪巻き爪は保存療法でも手術療法でも再発の可能性がある
    • 正しい爪の切り方、靴の選択、足指の衛生の管理を含めたフットケアが重要である
    • 炎症を繰り返せば変形は進行する
    • 局所の炎症症状がある時には根治手術は行うべきではない
    • 保存療法および手術終了後、結果がでるまで少なくとも半年かかる。新しい爪甲が完成するまで経過観察が必要である


#2

  • 爪矯正の欠点 1 爪矯正は時間がかかること、そのために痛みがなく、爪甲から爪周囲を含めて改善出来る 2 再発すること 巻き爪はいろいろな原因が複合して起こり,永久に爪の形を維持することはできない 3 健康保険の適応でない
  • 横方向に巻いているのを巻き爪 縦方向に巻いているのは鉤爪
  • 爪下外骨腫 巻き爪の原因のひとつ切除を様する
  • 2年以上寝たきり患者で、正常な携帯の爪はなく、歩いている高齢者でも高率に巻き爪になる
  • 陥入爪 Heifeze 第一ステージ 爪郭の軽い炎症 第2ステージは排膿 第3ステージは肉芽形成
  • 原因 深爪、歩行量の不足、合わない靴、末節骨の形態、爪下血腫、外傷、先天的素因などが考えられる
  • 男女比は2:8
  • 母趾の回旋を伴なう外反母趾リンパ浮腫,高度肥満例で好発
  • 軟部組織が豊富で脆弱なのが素因
  • 外反母趾では開張足により、母趾が回旋し指尖に力が加わらないため、巻き爪になる
  • 片麻痺では麻痺側の足の爪は健側とく
  • 陥入爪手術の欠点 手術 爪の幅を狭くする
  • 爪の幅が狭くなると指尖の圧力が分散されなくなり、術後に踏ん張れないと感じる患者もいる
  • 爪形成 orthonixyの歴史
    • Rosenstein 英 1938 爪に穴をあけて糸を通して長期間引張り爪が矯正出来ることを証明
    • ドイツ B/S brace 弾力のあるプラスチックの板を接着剤で爪にはる
    • VHO Virtuose human orthonyxie, Elvira Osthold, 独 1988 固い金属ワイヤを爪の縁にかける
    • Goldspange (Ruck 独 1990) 弾力のある金色の金属製板バネを爪の縁にかける
    • マチワイア(多摩メディカル、tama-medical.com) 歯列矯正や冠動脈内のステントに用いられる形状記憶合金と同質 0.3-0.7
    • 爪にマチワイヤをとおして、外科用アロンアルファで固定 運動、入浴制限なし
    • 爪の先端が軟部組織に入る例では爪の角に綿を挟むコットンパッキングや硝酸塩処理を併用
    • 足の爪は月に約2mm 伸びる 1-2ヶ月後に爪をきってワイヤを交換
    • 爪先端の爪縁の角度が60度以下になるまで矯正 若年者は再発しやすい
    • 爪白癬合併は爪がもろいので細いワイヤを使用
    • 早期脱落 爪から抜ける 爪が割れる ワイヤが折れる


#3

  • 方法 爪の弯曲に合わせ、爪に2箇所の穴をあけ、超弾性ワイヤを刺入した。超弾性ワイヤーは爪の両端からはみ出さないように切断した。その後は爪が伸びてくるのに合わせ、超弾性ワイヤーの刺入部位を変更し、爪甲の矯正を続けた。また初診時に深爪により超酸性ワイヤが刺入できない症例には、コットンパッキングを行い、爪が伸びるのを待ち超弾性ワイヤーを刺入した。治療中は、患者は特別な安静等の必要はなく、生活上の制限も行わなかった
  • 経過 疼痛は一週後の再診時にはほとんどの症例で消失した。2ヶ月以内に十分な教師えがえあれた
  • 合併症 爪の縦割れ2例
  • 弯曲した爪の矯正には超弾性ワイヤが適しているが、爪郭炎に対する爪縁の処置にはコットンパッキングが有効である
  • 再発の予防には、深爪をしないことや靴についての指導等の患者教育が重要
  • 問題点 ワイヤに保険適応がなく、患者の自己負担が大きいこと。治療には一定期間がかかり患者の理解と協力が必要

#4

  • 形状記憶ワイヤは安価ではない 価格が1/10以下の歯科矯正用のステンレスワイヤーを用いて治療を行った
  • 30分程度温浴した後に穴をあけると爪が割れにくくなる
  • 1-2ヶ月でワイヤを入れ替え、6ヶ月で終了した
  • 爪白癬で著しく肥厚しもろくなった爪ではワイヤ刺入部の穴の破損が早期に起こりりやすく不適応と考えられる