鎮痛補助薬による神経障害性疼痛の治療新情報

武田泰子、井関雅子 鎮痛補助薬による神経障害性疼痛の治療新情報 Brain Medical 2009;21(3):273-278

  • 痛みは主観的な感覚である。しかし、視覚や聴覚、嗅覚などの五感と異なり、不快であるにもかかわらず共有できない感覚のひとつである
  • 神経障害性疼痛の定義
    • 神経系における損傷または機能異常により生じる一次的疼痛
    • 体性感覚系に影響を及ぼす疾患あるいは体性感覚系そのものの損傷によって引き起こされる種々の疼痛
  • 特徴
    • さまざまな異常感覚を伴なう
    • allodynia (正常な痛みを伴わない刺激で起こる痛み)
    • hyperalgesia (痛覚過敏)
    • hypoesthesia (痛覚低下)
  • 神経障害性疼痛の慢性化には、これらの機序が複合し、さらに脳におけるより上位中枢での可塑的な修飾が加えられ、痛みの慢性化に寄与している可能性も考えられている
  • 鎮痛補助薬
    • 第一選択 抗うつ薬、抗てんかん薬(Ca チャンネルα2δサブユニットリガンド),リドカイン貼付剤
    • 抗うつ薬
      • TCA
      • SSRI,SNRI  副作用が少ない ノルアドレナリン再取り込み阻害作用を併せ持つSNRIの方が鎮痛効果が高いとされている セロトニンサイドり込阻害作用による嘔気嘔吐胃部不快感などの消化器症状があり、抗潰瘍薬が予防投与されることがある NSAIDsと併用した際の消化性潰瘍のリスクが増大するという報告がある
    • 抗けいれん薬
      • Ca チャンネルα2δサブユニットリガンド ガバペンチン、プレガバリン 本邦では疼痛に対する保険適応はいまだ認められていない
    • オピオイド  新指針では第2選択薬
  • 慢性痛に対しては、時に患者自身に痛みを「完治させる」ことではなく「QOLを向上させる」ことに到達目標をギアチェンジさせる必要もあることを忘れてはならない。