小畑浩一、野口光一 整形外科領域の疼痛疾患モデルと基礎研究 骨関節靭帯 2002;15(11):1175-1179
- 慢性痛の動物モデル
- 末梢炎症モデル
- 神経障害の伴なうモデル
- 末梢神経軸索の完全切断に伴うもの complete axotomy model
- 完全切断であるので疼痛関連動作を観察することはできない
- 末梢神経軸索の部分的障害モデル partial nerve injury model 神経因性疼痛モデルに相当
- 神経因性疼痛モデル (基本病態モデルは坐骨神経の部分的軸索損傷)
- Bennett model ( chronic constriction injury:CCI)
- Chung model (spinal nerve ligation)
- Seltzer model (partial sciatic nerve ligation)
- SNI (spared nerve injury model)
- 神経根あるいはDRGそのものに機械的な圧迫を加えるモデル
- ステンレス製のロッドを椎間孔に挿入するDRG慢性圧迫モデル (chronic compress of DRG:CCD)
- chronuc gutを用いた神経根の絞扼性損傷モデル(proximal CCI model)
- 選択的後根切断モデル dorsal rhizotomy model
- 選択的前根切断モデル
- 脊髄損傷モデル
- 痛みは主観的なものであるため、実験動物から得られた情報の臨床での応用に疑問視する考え方もあるが、慢性痛に対する効果的な薬剤治療法の開発に向け、動物モデルを用いた分子生物学的な病態解析はそのベースとなることは間違いなく、今後とも研究を継続する必要がある
野口光一 痛みの分子機構 日本醫事新報 2004;4172:29-32
- ここ十数年程の精力的な研究結果より、痛みとは単なる症状/結果ではなく、痛みが持続する状態は神経系やその周辺組織の種々の変化を引き起こし、治療が困難になったり長期化したり、別の病態を引き起こす原因になるということが裏付けられてきた。つまり、痛みの状態自信が病態であるという認識である
- ここ数年、一次知覚ニューロンに特異的に発現するタンパク質、受容体が次々と発見され、痛覚伝達における役割が検討されている。中でもカプサイシンレセプターとして最初にクローニングされたTRPVI,ATP受容体であるP2X3,Naチャンネル蛋白のSNS/PN3などが特に注目され、新しい知見がえられている
- 末梢神経の炎症に伴なうタンパク質の機能的変化と痛覚過敏
- このようなタンパク質のリン酸化が神経終末での機能的な変化を引き起こし(末梢性感作)、早期における神経系の可塑的変化を形成する。今後、各温度チャンネル、機械的刺激に対する受容体が、炎症によりどのように感受性が変化するかというメカニズムが盛んに研究されると予想される。