住谷昌彦、宮内哲、前田倫、斎藤洋一、柴田政彦、真下節 幻肢痛とRamachandranの鏡 痛みと臨床 2007;7(1):23-28

  • 幻肢痛でこの知覚ー運動ループについて考えると、「脳からは切断肢を運動する指令(例 姿勢制御など)がつねに発動されているが、実際には切断肢の運動は起こらない為に感覚のフィードバックがなく、視覚ー運動ループの整合性が得られていない」状況であrといえる
  • 鏡療法の作用機序と病的痛みの発生機序に関して
    • 1知覚ー運動ループが破綻する場合に病的痛み(幻肢痛)が生じる、2患肢への運動指令に対応した体性感覚のフィードバックの欠損を、鏡療法は視覚的に代償して中枢神経にフィードバックする(その結果、四肢運動の知覚ー運動ループが再統合され、病的痛みが緩和する)という2つの説が英国の研究グループから提唱されている
  • 痛みとはそもそも身体の異常を知らせる為の警告信号であることを考えると、「生理的には知覚ー運動ループが整合性を持つべき状態で、四肢切断や神経損傷によってそのループが破綻すると、その異常(知覚ー運動ループの破綻)に対する警告として”痛み”が発症する」というようにこの説を解釈でき、きわめて自然なアイデアであると、この説を強く支持している。
  • 鏡療法によって自己受容感覚に関連した性質の痛み(例:ねじれるような)は有意に減少したが、皮膚受容感覚に関連した性質の痛み(ナイフで刺されたような)にはあまり効果がなかった