急性痛と慢性痛

小川節郎 急性痛と慢性痛 日医雑誌 2009;138(2):320-321

  • 世界疼痛学会の疼みの定義
    • 組織の実質的な損傷あるいは潜在的な傷害に関連して起こるか、またはそのような傷害を表す言葉をつかって表現される不快な感覚および情動体験
  • 発生機序による分類 侵害受容性、神経障害性、心因性
  • 持続時間による分類 急性(ほぼ侵害受容性)、慢性
  • 急性痛の発生機序
    • カリウムイオン、ヒスタミンなどの物質や発痛物質であるブラジキニン(疼痛、発赤、腫脹)が神経末端になる受容体に作用して痛み信号を発生させる
    • 組織が損傷されるとフォスフォリパーゼAが活性化ープロスタグランジン産生
    • 熱刺激、冷刺激
  • 急性痛の役割
    • 体に対して異常自体を知らせる警報装置
  • 慢性痛の発生機序
    • 損傷部における異所性Na channelやαアドレナリン受容体の発現と異常な神経発火の発生
    • カプサイシン受容体の炎症による過敏化
    • 損傷された末梢神経内の交感神経線維の後根神経節への発芽による自発痛の発生
    • 組織損傷にともなって発現するリゾホスファチジン酸による神経線維の脱髄
    • 触覚を司るAβ線維の疼痛伝達に関与する脊髄2次ニューロンとの直接接合
    • 痛み刺激の繰り返し中枢神経入力による中枢神経細胞の過敏化
    • 疼痛抑制系神経系である下行性疼痛抑制神経系の機能低下
    • 神経反射機構の亢進
    • 太い有髄神経が選択的に減少するような病態では、門調節機構が破綻して痛みの原因となっている可能性あり

並木昭義、川股知之 痛みの臨床的分類ー侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛心因性疼痛  日医雑誌 2009;138(2):322-323

  • 侵害受容性疼痛
    • 外来刺激 侵害性機械刺激、侵害性温度刺激、侵害性化学刺激
    • 内因性刺激 炎症
    • 役目は危険から身を守る、体の異常を知らせるための警告信号
  • 神経障害性疼痛
    • 知覚神経終末の侵害受容器が侵害刺激をうけていないにも関わらず、末梢あるいは中枢神経系の一次的な損傷は機能異常により惹起される病的な痛み
  • 心因性疼痛