慢性と疼痛に対する薬物治療

中村卓、佐伯茂 薬物治療 ステロイドホルモン  EBM ジャーナル 2005;6(4):424-427

  • ステロイドホルモンの鎮痛機序 明確な機序は不明
    • 神経の浮腫に対する抗浮腫作用、抗炎症作用(PG抑制 )
    • 副作用 感染症の誘発、増悪、骨粗鬆症、骨折、副腎不全、離脱症候群、消化性潰瘍、糖尿病の誘発、増悪
  • 癌性疼痛に対するステロイド
    • 骨転移痛、腫瘍による圧迫症状、腫瘍による閉塞からの疼痛、頭蓋内圧亢進による頭痛などに鎮痛効果あり

加藤佳子、加藤あきら 薬物治療 麻薬による痛みの治療を適切に行うには  EBM ジャーナル 2005;6(4):424-427

  • オピオイド鎮痛薬の効果をRCTで検討することはなかなか難しい。「痛みは患者だけしかわからない」し、「治療効果も患者だけが評価できる」からである
  • 患者が満足する痛みに治療の目標 「痛みが楽になったと実感する」鎮痛であり、確実な鎮痛量の投与と副作用のコントロールが必須

森本昌宏 薬物治療 鎮痛補助薬  EBM ジャーナル 2005;6(4):424-427

  • 鎮痛補助薬とは、痛みの治療に用いられる薬物のなかで、本来の薬理作用が鎮痛でないにもかかわらず、疾患特有の痛みの原因に対して鎮痛作用をもたらず、または他剤の鎮痛効果の増強、副作用の軽減などを目的として用いられる薬物
  • 慢性疼痛 単一の機序でない。侵害受容系の活動が亢進して中枢への入力が過剰になっていること、または増加しやすい状態となっていること
  • 抗けいれん薬
    • 作用機序 電位依存性のナトリウムチャンネルの不応期の延長、カルシウムチャンネルの抑制、GABAの作用増強
    • カルマバゼピンは有効血中濃度がせまい。ゾニサミド(エクセグラン)では中枢神経症状の出現頻度が低い
  • 抗うつ薬
    • 作用機序 直接的な抗うつ効果、独立した鎮痛効果、神経伝達物質への作用とオピエート作用
  • 抗不安薬
    • BNZsは主として大脳辺縁系の情動中枢に存在するベンゾジアゼピン受容体に結合して、抗不安作用、鎮静、催眠作用、筋弛緩作用、抗けいれん作用をもたらす。さらにBNZsはGABA受容体を増強して、クロールチャンネルの細胞内への流入を増加し、NAならびに5-HT,ドーパミン作動性の神経活動を減弱する