• 動かさないということが、慢性痛症の引き金になってしまったり、慢性痛症をかえって悪化させてしまったりしている場合があるのです。
  • 急性痛と慢性痛
  • 慢性痛症 原因となった傷は治っているのに痛みが治まらなかったり、あるいは検査でどこにも原因らしき病巣はないのに、長期にわたって痛みが続くという、急性痛のしくみでは説明できない不思議な痛みが訴えられる
  • 日本の医療従事者はの多くはまだ、傷害部位が存在しなくてもまた治った後にも痛みだけが続くことをよく理解していません
  • 2001 痛みを第5の生命徴候とする
  • 国際疼痛学会による痛みの定義
    • 不快な感覚性情動性の体験であり、それには組織障害を伴うものと、そのような障害があるように表現されるものがある
  • 説明できない痛みの存在 アロディニア幻肢痛
  • 患者さんが訴える痛みはすべて痛みですということを、この定義は表しており、患者さんが痛いと表現していれば医療者はそれを痛みとしてちゃんと受け止めるべきだということをしめしているのが、この定義の素晴らしいところです。
  • 痛み系は原始的で、他の形に変わりうる 可塑性が高い
  • 一次痛 チカッとした痛み 高閾値器械受容器 空間的にも時間的にも識別性が高い 脳の視床の外側部へ入り、sこから大脳皮質体性感覚野へ行く
  • 二次痛 ズーントした痛み ポリモーダル受容器 識別性が低い 炎症物質で受容器の興奮性が高まる 延髄を始め脳幹のいろいろな部位に寄り道をして中継ぎされ、視床内側部に入り、大脳皮質へ到達 自律神経系や情動系への影響
  • 広汎性侵害抑制調節
    • 痛み信号があちこちから一度に入った時は、最も緊急性を要する場所の痛みだけが伝わり、他の場所はとりあえず後回しにして痛みが抑えられるしくみになっている
  • 正常時には触られたと感じるような刺激を、アロディニアになった手は激しい痛みとして感じる。しかし、その手をマンシェットで圧迫して、触覚の神経をブロックする、つまり触られたことを知らせる信号の通り道だけを止めた状態にすると、痛みがとまってしまった。このことからこの患者さんは、普通なら触覚を伝えるはずの神経が痛みをつたえていたことがわかりました。
  • ロディニアのいたみ 神経が混線してしまったために激痛がおこるということを理解すればそういう患者線への接し方も自ずと変わっていくでしょう
  • 慢性痛症の予防のためには、運動、つまり動かすということも大切であると考えています。
  • 皮膚の神経の刺激でおきた興奮は刺激後すぐに鎮まっているのに対し、筋肉の神経を刺激すると興奮が長引きます。つまり同程度の痛みでも、筋肉の痛みは脊髄での影響が大きいということであり、可塑的変化をおこす可能性がたかくなり、より慢性痛症に結びつきやすいと考えられます。
  • 運動器の10年 動くことすべてに目を向けた運動器という日本語にしたのは非常に賢明であった
  • 学際的痛みセンター
  • 痛みの中に人生があるという状態から、人生の中の一部として痛みがある状態にする、つまり社会復帰して人として生きていける道筋を示すことが、学際的痛みセンターのリハビリプログラムの目的です。
  • 痛みを慢性化させないためには、急性期の痛みはあらゆる手段を用いて可能な限り取り除くこと、つまり警告信号の役割を終えた痛みは百害あって一利無しという常識について、現役の学生たちだけでなく、現場の医療者への再教育が必要であると感じています