p2 熊澤孝朗 慢性痛の理解

  • 国際疼痛学会の痛みの定義 2つの重要な点
    • 痛みは感覚か情動かという問題に対して、その両者ともが痛みとした
    • 身体に傷害部位が検出できなくても、患者が訴える痛みが痛みである
  • 学際的痛みセンターの活動で最も重要な役割の一つを担うのは理学療法士である
  • 痛みの歴史
    • ギリシャ医学 痛みは心臓に宿る不快な情動
    • ピタゴラス 脳で知覚される感覚
    • 17世紀 デカルト 火の粉説
    • 19世紀 フォンフライ 痛覚系が一つの独立した感覚系
    • コールドシャイダー どんな感覚受容器でも刺激を強くすれば痛み 痛み非特異説
    • 1970 内因性鎮痛系 オピオイド
    • 1965 ゲートコントロール説 この説は神経生理的に否定された。心理学領域では引き続き現在に至るまで痛みに関する金科玉条としての地位を保っている
  • 慢性痛症 
    • 新たに神経系に生まれた可塑的な変容によって不可解ともいうべき痛みを示す. 他の神経系と混線
    • 中枢神経系にあらたな病巣ができたと考えられる慢性痛症患者に対して、いたずらに末梢からの痛みの入力をブロックする治療を繰り返すことは、患者にとって害にこそなれ益はない
  • 学際的痛みセンター
    • 慢性的に痛みを抱えた患者の症状は、そこに至までのその人の複雑な背景を包含したものであり、個別的で多面的である
    • 長期に渡るいたみのためにそれぞれの患者に悪循環が生じている場合が多い
  • 理学療法士の役割
    • 痛みに対する反応として防御姿勢をとり続け、筋萎縮、拘縮。このような運動における負の可塑性に対して、適切な筋への徒手療法と運動療法の積み上げを心理的な行動療法と組み合わせて行い、運動中枢を含めた正の可塑性を引き出すことにより、痛みによる運動障害を克服することは慢性痛治療の最重要課題の一つであろう
    • 私の知る範囲内では医師を含めたすべての医療者の中で筋についてもっとも知悉しているのは理学療法士のようである