倉田二郎,小林義尊 腰痛に対する新たな画像評価 Pharma Medica 2007;25(7):41-44

  • 外側侵害受容系 bottom-up
    • 外側視床核から主に投射を受け、SI,SII,島皮質が含まれる 痛みの場所強さの弁別などに関わる
  • 内側侵害受容系 top-down
  • bottom-up成分はtop-down成分を促進し、top-down成分はbottom-up成分を逆に抑制する
  • 慢性疼痛による異常所見
    • 疼痛が始まった直後に視床の血流は増加し、疼痛の経過が長くなるほど減少する
    • 前頭皮質 dorsolateral prefrontal cortex DLPFCの代謝異常、神経機能低下 ー 慢性疼痛の意志タスクの障害と関連か
    • DLPC, 右視床灰白質体積が、罹病期間が長くなるほど萎縮
  • fMRIを用いた腰痛治療評価
    • 健常人では前頭皮質や補足運動野などに再現性高く脳活動を認めたが,SI SIIなど外側侵害受容系には脳活動認めず ー 深部痛み感覚による脳活動の特徴
    • 腰痛患者では健常人で見られた活動に加え、前帯状皮質における脳活動を認めた ―外側侵害受容系の反応が強く見られる可能性か

倉田二郎 fMRIにおける急性疼痛関連脳活動の特徴 麻酔 2004;53:S162-S167

  • 活性化した脳神経細胞の周囲にはより酸素飽和度の高い血液が出現。還元ヘモグロビンが少ない血液ではT2*強調MRI信号強度が増加する。この信号変化はblood oxygenation level-dependent (BOLD) effectと呼ばれ、これを神経活動増大としてとらえるのがfMRIの原理である
  • Melzackらが分類した疼痛の3要素 全体として疼痛という主観的かつ複雑な現象をもたらす
    • 感覚 sensory-discriminative component
    • 情動 affective-motivational component
    • 認知 cognitive-evaluative component
  • 疼痛関連脳活動は早く減衰する
    • なんらかの抑制性要素
    • 疼痛によりtop-downに抑制性神経活動が生じ、それが脳内神経回路または下行性抑制系を通じて、疼痛関連脳活動を抑制した可能性がある
    • 疼痛が上行性である感覚情報処理だけでなく、下行性である注意の影響を強く受けることを示唆